「前歯のガタつきや、ちょっとした出っ歯、すきっ歯で悩んでいて前歯だけを矯正したい。」
「金属の矯正装置をつけるのは嫌だけど、簡単に矯正治療できないかな?」
とお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
実は歯科矯正治療の中には、部分矯正といってマウスピースで前歯だけを矯正する治療方法があることをご存知ですか。
金属のワイヤーを用いた矯正装置は、金属による口の中の痛みや、見た目の悪さ、取り外しができないといったマイナスのイメージもあります。
マウスピースを一定期間つけるだけで、気になる歯並びが改善できるのはとても魅力的ですよね。
しかしながら、マウスピース矯正は、歯並びの程度や噛み合わせ、顎の骨格によって、適応できないというケースもあります。
それでは、どのような歯並び、どのような人であれば、マウスピースを用いた前歯だけの部分矯正が可能なのでしょうか。
この記事では、前歯だけのマウスピース矯正の適応や、メリット・デメリット、他の矯正方法と比較した料金についても詳しく解説していきます。
前歯だけのマウスピース矯正が気になっている方はぜひこの記事を参考にしてみてくださいね。
この記事で分かること
前歯だけのマウスピース矯正とは、歯列にマウスピース装置を装着し、気になる前歯部分だけに負荷をかけて歯を動かし、理想的な歯並びに整えていく矯正治療のひとつです。
マウスピース矯正には2種類の治療方法があります。
このうち、前歯だけのマウスピース矯正の場合は、部分矯正です。
マウスピースを装着するだけで、前歯のガタつきや、出っ歯やすきっ歯など気になる歯並びを矯正することは可能です。
しかし、一見前歯だけ歯並びが乱れているように見えていても、噛み合わせが悪かったり、顎の骨から問題があるケースはあります。
この場合、前歯だけのマウスピース矯正では対応できないこともあるため、注意が必要です。
前歯だけのマウスピース矯正といっても、前歯だけにマウスピースをつけるわけではありません。
マウスピースは、歯列全体に装着するため前歯から奥歯までの歯列全体を覆うような形です。
そのため、マウスピースを初めて装着するときは、口の中の違和感が大きいと思いますが、数時間も装着すれば次第に慣れてきます。
マウスピースの見た目は透明で目立ちにくく、他人からも気づかれにくいです。
前歯とは、笑った時に見える真ん中の1番目の歯から、犬歯と呼ばれる3番目の尖った歯までの歯を指します。
このため、上下6本ずつを合わせた12本が全て前歯となります。
前歯だけをマウスピースで治療していく場合の治療期間の目安は、およそ3ヶ月〜1年前後です。
早い人では1年もかからず、短い期間で矯正治療をすることが可能です。
歯列全体の矯正の目安は、1~3年程度なので、治療期間が大きく異なります。
全体矯正と前歯だけの部分矯正の治療期間が異なる大きな理由としては、以下の通りです。
しかし、治療期間には個人差があるため必ず短い期間で終わるわけではありません。
矯正治療は上記で説明したマウスピース矯正と、一般的な金属の装置を使用するワイヤー矯正に分類されます。
金属の装置を使用するワイヤー矯正は、ワイヤーを歯の表面で固定しているのですが、以下の2種類に分けられます。
それぞれの料金や治療期間、治療範囲も異なるので、以下の表でまとめてみました。
前歯だけのマウスピース矯正 | 表側ワイヤー矯正の部分矯正 | 裏側ワイヤー矯正の部分矯正 | 全体のマウスピース矯正 | |
---|---|---|---|---|
料金(税金) | 330,000円~ | 440,000 円~ | 880,000円~ | 770,000円~ |
治療期間 | 3ヵ月〜1年 | 1年~3年 | 1年~3年 | 1年~3年 |
治療範囲 | 前歯の乱れた歯並び | 奥歯を含む乱れた歯並び | 奥歯を含む乱れた歯並び | 奥歯を含む乱れた歯並び |
前歯だけのガタつきや、ちょっとした出っ歯、すきっ歯であれば、マウスピース矯正での治療が可能ですが、噛み合わせや歯並びの程度、顎の骨格によっては適応できない症例もあります。
では、どのような症例が前歯だけのマウスピース矯正が適応となるのでしょうか。
大まかに以下のような歯並びの方で、乱れの程度も軽度〜中等度であれば基本的に前歯だけの部分的なでマウスピース矯正で治療が可能です。
具体的にどういう状態か詳しく確認していきましょう。
歯と歯の間に隙間がある状態、いわゆるすきっ歯と言われる状態を医学的には空隙歯列と呼びます。
空隙歯列は、顎に対して歯が小さい場合、生まれつきどこかの歯がない場合などに生じることが多いです。
前歯の隙間だけあれば、部分矯正のマウスピース矯正が適応となります。
前歯が出ている状態、いわゆる出っ歯と言われる状態を医学的には上顎前突と呼びます。
上顎前突とは、奥歯で自然と噛み合わせた時に、上の前歯だけ前方に出ていて、唇からはみ出て見えるような見た目をしています。
上顎前突は見た目が悪いだけでなく、常にやや口が開いている状態になり、口の中の唾液が減って乾燥することで、虫歯や歯周病のリスクを高めたり、口臭の原因にもなります。
軽度〜中等度の上顎前突であれば、部分矯正としてのマウスピース矯正治療も適応となります。
前歯がガタガタしている状態、いわゆるガチャ歯と言われる状態を医学的には叢生と呼びます。
叢生は、歯に対して顎が小さく歯列が収まりきらず生じることが多いです。
叢生は見た目が悪いだけなく、隣の歯と重なり合っていたり、捻れを伴っていることから、普段のブラッシングでも磨き残しが生じやすく、虫歯や歯周病や口臭の原因にもなります。
軽度〜中等度のガタつきであれば、部分矯正としてのマウスピース矯正治療も適応となります。
矯正後の後戻りとは、矯正治療で綺麗に揃ったはずの歯並びが時間をかけて元の歯並びに戻ってしまう状態のことです。
矯正治療後は歯を支えている骨が安定していないため、元の歯並びに戻ろうとしてしまいます。
後戻りを防ぐためには、保定装置(リテーナー)の使用を徹底しましょう。
保定装置(リテーナー)は主治の歯科医師に決められた時間・期間必ず使用していくことが必要です。
マウスピース矯正で前歯だけ手軽に矯正したいという方は多いのではないでしょうか。
ここではで、前歯だけの部分的なマウスピース矯正のメリットとデメリットを紹介していきます。
メリット | デメリット |
---|---|
・治療期間が短い ・費用を抑えられる ・装置が目立ちにくく取り外しも可能 ・痛みが少ない ・金属アレルギーの心配がない | ・重度の歯の乱れなど診断によっては適応外となる ・歯を削る処置が必要となる場合がある ・マウスピース装着時間を必ず守る必要がある ・後戻りのリスクを理解しておく必要がある |
前歯だけの部分的なマウスピース矯正治療をする場合のメリットとして、治療期間が短いことが挙げられます。
歯列全体の矯正治療となると同様に1〜3年の治療期間が必要ですが、前歯だけのマウスピース矯正であれば3ヵ月〜1年の治療期間が目安となります。
そして、治療する歯の範囲も前歯の12本に限定されるため、治療費用を抑えることもできます。
費用については、各歯科医院によって異なるため、一度歯科医院で相談・カウンセリングを受けて確認してみるといいでしょう。
また、取り外し可能な透明のマウスピースのため、人からも目立ちにくく、歯磨きや食事も通常通りできることから虫歯や歯周病のリスクも抑えることができます。
さらに、ワイヤー矯正と異なり、金属アレルギーがある方も安心して矯正治療を始めることが可能です。
前歯だけの部分的なマウスピース矯正治療をする場合のデメリットとしては、適応でない場合があることです。
重度の歯並びの乱れがある方は、奥歯の噛み合わせ不良、顎の骨格から問題あることが多く、部分的なマウスピース矯正では矯正できないケースがほとんどです。
また、前歯だけのマウスピース矯正治療では、歯を移動させるスペースは確保するため、歯を削る処置が必要になる場合があります。
歯を削ることで、歯の表面であるエナメル質が薄くなるため、一時的に歯がしみやすくなることもあるため、現在、知覚過敏で悩んでおられる方は注意が必要です。
またマウスピース矯正では、一般的に1日20時間以上のマウスピースの装着が推奨されています。
前歯だけの部分的な矯正であれば最低約3ヵ月〜で動的期間を経て歯並びが変えることができますが、その後の保定期間にリテーナー(保定装置)の装着を怠ることで、後戻りが生じてしまいます。
そして、前歯だけの部分的なマウスピース矯正は手軽な治療に感じますが、その分動かせる歯の範囲も限定されているため、難しい治療です。
治療を受ける歯科医院は、よく調べてから検討する必要があるでしょう。
前歯だけのマウスピース矯正は手軽に始めることのできる魅力的な矯正治療ですが、先ほどのメリット・デメリットを踏まえた上で、おすすめできる人・おすすめできない人がいます。
では、どのような人におすすめできるのか、できないのかを紹介していきます。
おすすめできる人 | おすすめできない人 |
---|---|
・軽度〜中度の歯並びの乱れの方 ・治療期間を短く抑えたいという方 ・治療費用を少しでも抑えたいと考えている方 ・目立たない矯正治療をしたいという方 ・金属アレルギーで矯正したいという方 | ・前歯だけでなく、全体の歯並びが乱れている方 ・重度の歯並びの乱れ・噛み合わせ・顎の骨格に問題がある方 ・仕上がりの歯並びに高い理想がある方 ・1日20時間以上のマウスピースの装着が難しい方 |
前歯だけのマウスピース矯正をおすすめできる人は、前歯の歯並びの乱れが軽度〜中等度の方です。
前歯のちょっとしたガタつき、出っ歯、すきっ歯が気になるという方は、ぜひ一度検討していただきたい治療です。
治療期間や治療費用を少しでも抑えたいという方にとっても、部分的なマウスピース矯正がおすすめです。
反対に前歯だけのマウスピース矯正をおすすめできないという方は、歯並びの乱れが重度の方です。
歯並びの乱れが重度の方は、噛み合わせや骨格から問題がある場合が多く、仮に前歯だけ矯正してもバランスが悪くなり、より悪化するリスクもあり注意が必要です。
また、仕上がりの歯並びに高い理想があるという方もあまりおすすめできません。
例えば、前歯だけ矯正したものの他の奥歯の歯並びも気になるということであれば、最初から全体矯正をすればよかったと後悔することになります。
そして、1日20時間以上マウスピースを装着する自信がないという方もマウスピース矯正はおすすめできません。
前歯だけの部分的なマウスピース矯正を始めて手軽に印象を変えたいという方は最近増えており、そこでよくいただく質問をまとめてみました。
前歯だけでなく全体の歯並びに乱れがある方は、前歯だけのマウスピース矯正では治療では不可能です。
また、その他にも重度の歯並びの乱れ、噛み合わせの不良、顎の骨格から問題があると診断された方は、前歯だけのマウスピース矯正は適応外となるケースがほとんどです。
しかし、今の自分の歯並びが前歯だけのマウスピース矯正で対応可能かどうかは、自分では判断することは難しいため、歯科医院で一度、相談してみることをおすすめします。
マウスピース矯正を早く終わらせる方法は存在しません。
しかし、以下の基本的な注意を守ることで、治療期間が延びることは避けられます。
マウスピース矯正の治療期間は約3ヶ月〜3年、ワイヤー矯正では約1〜3年といわれています。
マウスピース矯正は前歯だけの部分的な矯正治療が可能なこと、動かす範囲や本数が少ないことなどから、治療期間が短いケースもあるためです。
しかし、マウスピース矯正もワイヤー矯正も、どちらも装置によって継続的な力を加えて、歯を動かすという原理で言えば変わりはなく、マウスピース矯正とワイヤー矯正で歯の動く量には大きな差はありません。
このため、どちらが自分に合っているか、歯科医院で相談した上で検討するようにしましょう。
前歯だけのがたつきや、出っ歯、すきっ歯が気になる方は、前歯だけのマウスピース矯正治療が選択が可能です。
従来の矯正治療のイメージは、お金がかかる、治療期間が長い、痛みが強い、見た目が悪いというマイナスのイメージを持つ方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、前歯だけのマウスピース矯正であれば、他の矯正方法よりも短期間で価格や痛みを抑えて治療できる魅力的な矯正治療方法のひとつです。
マウスピースはなんといっても金属を使わない、着脱可能な矯正装置のため、金属アレルギーの方や虫歯リスクの高い方も安心して治療を始めることができます。
しかし、前歯だけのマウスピース矯正は、全体の歯並びから乱れのある方、重度の歯並びの乱れがある方、噛み合わせや顎の骨格から問題がある方には適応ではないケースが多いため注意が必要です。
まずは自分の歯並びが前歯だけのマウスピース矯正で可能なのかということを一度歯科医院で相談してみましょう。
注意点はいくつかありますが、前歯だけのマウスピース矯正には大きなデメリットはなく手軽にできる魅力的な治療です。
前歯の歯並びが気になるという方は、ぜひ一度前歯だけのマウスピース矯正を検討してみてください。
わかば歯科クリニックでもマウスピース矯正を行っておりますので、浦安にお住いの方はぜひお越しください。
また、浦安以外でマウスピース矯正をお探しの方は別記事でマウスピース矯正のおすすめ記事もございますので、そちらをご覧になってみてくださいね。