金属アレルギーと食品

「手のひらや足の裏に湿疹ができるようになった」

「皮膚炎の症状がいつまでも治まらない」

「口内炎がしょっちゅうできて困っている」

このような症状、ありませんでしょうか?
もし、上記のような症状が続く場合、金属アレルギーを発症しているおそれがあります。

金属アレルギーを発症すると湿疹や皮膚炎、口内炎など、さまざまな症状があらわれてきます。
金属アレルギーをひきおこす原因は患者さんによって異なりますが、原因としては歯科治療で用いられる銀歯やアマルガムなどの詰め物・かぶせ物のほか、ふだん身に着けている金属製のアクセサリー、そしてニッケル金属を含む豆類やチョコレートなどの食品を食べすぎてしまうことにより金属アレルギーを発症するケースもあります。
このうち、近年では特に食品によって金属アレルギーを発症する人が増えており、皮膚炎や口内炎が治らず悩んでいた患者さんが医療機関で診察を受けたところ、食品が原因となって金属アレルギーを発症していた、ということが少なくありません。
今回は、「食品がひきおこす金属アレルギー」についてお話をさせていただきます。

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■金属アレルギーをひきおこす食品とは

金属アレルギーをおこしやすい物質にはニッケル、コバルト、クロム、水銀などがあります。
ニッケルやコバルト、クロムは微量ですが食品の中に含まれており、これらの金属を含む食品を食べすぎてしまうと金属アレルギーを発症することがあります。
金属を含む主な食品は以下となります。

●ニッケル(食品100gあたりの含有量)(1日の必要摂取量は50~80㎍)

[ナッツ類]
・ココナッツ(1400㎍)
・ピーナッツ(820㎍)
・カシューナッツ(370㎍)

[豆類]
・きなこ(1000㎍)
・大豆(520㎍)
・あずき(440㎍)

[藻類]
・あおのり(870㎍)
・昆布(270㎍)
・干しひじき(260㎍)

[飲料]
・抹茶(740㎍)
・煎茶(650㎍)
・紅茶(480㎍)

[調味料、スパイス]
・山椒(480㎍)
・セイジ(280㎍)
・唐辛子(100㎍)

[魚介類]
・メルルーサ(420㎍)
・あわび(塩辛、290㎍)
・うに(生、150㎍)

[菓子類]
・チョコレート(スイートチョコ260㎍、ミルコチョコ120㎍)

[穀類]
・きび(210㎍)
・そば(190㎍)
・えん麦(168㎍)

●コバルト(食品100gあたりの含有量)(1日の必要摂取量は定められていません)

[藻類]
・あおのり(170㎍)
・干しひじき(87㎍)

[穀類]
・ひえ(120㎍)

[飲料]
・ココア(ピュアココア、97㎍)

●クロム(食品100gあたりの含有量)(1日の必要摂取量は30㎍)

[藻類]
・あおのり(480㎍)
・干しひじき(270㎍)

[調味料、スパイス]
・セイジ(230㎍)
・タイム(220㎍)
・クローブ(170㎍)

[飲料]
・ココア(ピュアココア、180㎍)

[魚介類]
・いかなご(煮干し、100㎍)

このように食品の中には意外と多くの金属が含まれているのがお分かりいただけるかと思います。
これらの食品は大豆、お茶やコーヒー、海藻や魚介類、チョコレートなど、私たちの食生活に馴染み深いものも多いため、金属アレルギーの症状が治まらないときには上記の食品を食べすぎていないかどうかを今一度、確認することをおすすめします。

■ニッケル、コバルト、クロムは必須栄養素

摂取しすぎると金属アレルギーの原因になることもある食品中の金属ですが、上の項でご紹介したニッケル、コバルト、クロムは人間の身体にとって必須の栄養素でもあります。
ニッケルは細胞を修復して成長を促進させる作用があるほか、コバルトは免疫機能の維持や皮膚の抵抗力アップ、クロムはインスリンの作用を強めるなど、さまざまな役割を持っています。
それぞれの金属の必要摂取量はニッケルが1日あたり50~80㎍、クロムが1日あたり30㎍となっていますが、これらの栄養素は豆類や藻類、肉類や調味料などに多く含まれているため、通常の食事を摂っていれば不足することはありません。
なお、コバルトについては摂取量が定められていませんが、コバルトは人間に必須の栄養素であるビタミンB12の主成分のため、コバルトの摂取目安はビタミンB12の必要摂取量である2.4~2.8㎍に準じます。
ビタミンB12は魚介類に多く含まれており、たとえばサケやマスなどの魚は100gあたり300㎍以上のビタミンB12が含まれています。

◎ニッケルには特に注意

食品中に含まれている金属元素のニッケル、コバルト、クロムのうち、コバルトとクロムについては摂りすぎても余った分は体内に吸収されないため、それほど心配する必要はありません。
しかし、ニッケルは空腹時に飲料水から摂取すると吸収率が高くなることが確認されているため、金属アレルギーの症状が治まらない場合には抹茶や煎茶、紅茶などニッケル含有量が高い飲料や食品をできるだけ控えるようにしてください。

【金属アレルギーのチェックは歯科医院がおすすめ】

「金属アレルギーと食品」についてご説明をさせていただきました。

今回お伝えしたように金属アレルギーは食品中に含まれる金属によってひきおこされることがあるほか、そのほかのケースとしては、歯科用の銀歯やアマルガムなどの詰め物・かぶせ物が原因でアレルギーの症状を発症する場合が多いです
このため、原因不明の皮膚炎や脱毛症、湿疹の症状が長く続いているようであれば、まず最初に歯科医院で診察を受け、金属アレルギーが歯科用の詰め物もしくはかぶせ物に原因があるのかを確認することをおすすめします。
歯科医院で診察を受け、金属アレルギーが歯科用素材に起因するものである、と判明したときには詰め物やかぶせ物をセラミックなどの非金属素材に変える治療を受けることで対処が可能となります。
また、診察の結果、歯科用金属がアレルギーの原因でないことが判れば内科や皮膚科など、他科の医療機関での診察に切り替えることができ、問題の切り分けがしやすくなります。
金属アレルギーでお悩みの方は、まずは歯科医院で診察を受けてみましょう。

当院でのメタルフリー治療について詳しくはこちらもご覧ください。


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わかば歯科クリニック 理事長 板野 賢

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