特殊な入れ歯

「歯医者さんで入れ歯を作ろうかと思っているんだけど、保険のものと自費ではどんな違いがあるんだろう?」

このように、ご自身の入れ歯を作る際に「保険か自費か」で迷われている方も多いのではないでしょうか。
入れ歯治療にかかる費用は保険適用のものと自費診療で作るものでは大幅に異なるほか、入れ歯の素材や見た目、また耐久性や着け心地も保険と自費ではかなり変わってきます。
今回は、「保険の入れ歯と自費の入れ歯の違い」、そして「自費の入れ歯のメリット・デメリット」についてお話をさせていただきます。

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■保険の入れ歯と自費の入れ歯の違い

保険を適用して作る入れ歯と自費の入れ歯の違いは、大きく分けて、

  • ①保険の入れ歯よりも自費の入れ歯の方が費用が高くなる
  • ②保険の入れ歯はレジンというプラスチック素材のみで作られているのに対し、自費の入れ歯は丈夫な金属床の入れ歯や金具のない入れ歯、着け心地のよいシリコン素材の入れ歯などバラエティに富んでいる
  • ③入れ歯の着け心地は保険のものよりも自費の入れ歯の方がすぐれている

という3つの違いがあります。
これをふまえて、次の項からはそれぞれの入れ歯のメリット・デメリットについて詳しくご紹介いたします。

■保険適用で作る入れ歯について

保険を適用して保険診療によって作成する入れ歯は、患者様が支払う自己負担額が「1割から3割」になります。
ここでは、「3割の自己負担」で保険の入れ歯を作った場合の費用や保険の入れ歯のメリット・デメリットについてご説明します。

1-1.保険適用で作る入れ歯の治療費用の相場は「5,000~15,000円程度」

保険を適用した保険診療で部分入れ歯を作成した場合の費用は、入れ歯一つあたりおよそ「5,000~15,000円程度」となります。
保険適用の総入れ歯の費用は、上あごか下あご、どちらか片方一つあたりの入れ歯を作った場合、およそ「10,000円程度」になります。

1-2.保険適用で作る入れ歯の素材は「レジン」一種類のみ

保険適用で入れ歯を作る場合には、部分入れ歯・総入れ歯ともに使用する素材はプラスチック樹脂でできたレジン一種類のみとなります。
保険の入れ歯は床(しょう)と呼ばれるあごの部分と歯ぐきの部分はアクリルレジン、歯の部分は硬質レジンという素材で作られています。
また、保険適用の部分入れ歯はクラスプと呼ばれる金具がついており、残っている歯にクラスプを引っ掛けて入れ歯を使用します。

1-3.保険の部分入れ歯は「2週間から1ヶ月」、総入れ歯は「2週間から5週間」程度の治療期間がかかります

保険適用で入れ歯を作る際には、部分入れ歯の場合「2週間から1ヶ月」、総入れ歯では「2週間から5週間」程度の治療期間がかかります。
この間の通院回数は平均で5回前後の通院が必要となります。

○保険適用の入れ歯のメリット

  • ・保険を適用できるため費用が安く済みます。

●保険適用の入れ歯のデメリット

  • ・あごの部分の床が厚くなるため着け心地はあまりよくありません。
    ・使用中にズレたりはずれることが多いです。
    ・耐久性の面では金属でできた自費の入れ歯よりも劣ります。

■自費で作る入れ歯について

自費の入れ歯は保険のものとは異なり、治療にかかる費用はすべて自己負担となります。

1-1.自費で作る入れ歯の治療費用の相場は「15万~60万円程度」

すべて自己負担の自費診療で部分入れ歯を作成した場合の費用は、入れ歯一つあたりおよそ「15万~35万円程度」となります。
自費の総入れ歯の費用は、上あごか下あご、どちらか片方一つの入れ歯を作った場合、一つあたりおよそ「15万~60万円程度」になります。

1-2.自費で作る入れ歯の素材は

自費で入れ歯を作る場合には、レジンのみに素材が決められている保険の入れ歯とは異なり、素材もさまざまなものからご自由に選ぶことが可能です。
自費で作る入れ歯には、

  • ・金具をいっさい使用しない部分入れ歯の「ノンクラスプデンチャー」
    ・親和性の高い生体シリコンで作られている「ソフトレジンデンチャー」
    ・耐久性にすぐれたコバルトクロムやニッケルクロム、チタンなどの金属で床が作られている「金属床義歯」
    ・超硬質レジンを使い、患者様それぞれのお口の形状に合わせて精度を高めて作られる「超硬質精密義歯(イボカップ)」

などがあります。

1-3.自費の部分入れ歯は「2週間から1ヶ月」、総入れ歯は「2週間から5週間」程度の治療期間がかかります

自費で入れ歯を作る際には保険適用のときとほぼ同様に、部分入れ歯の場合「2週間から1ヶ月」、総入れ歯では「2週間から5週間」程度の治療期間がかかります。
この間の通院回数は平均で5回前後の通院が必要となります。
自費の入れ歯は治療にかかる期間こそ保険適用の入れ歯と同程度の期間がかかりますが、保険適用で作る入れ歯は患者様お一人にかける診察・治療時間が比較的短くなるのに対して、自費で作る入れ歯はフィッティングなど、患者様それぞれのお口の形状になるべく入れ歯の形を近づけながら作られるため、1回あたりの診察や治療にかける時間は保険のものよりも自費の入れ歯の方が長くなります。

○自費の入れ歯のメリット

  • ・1回あたりの診療や治療にかける時間が保険適用のものと比べて長くなり、より自分のお口の形に合った入れ歯を作ることができます。
  • ・金具なしの入れ歯や金属でできた丈夫な入れ歯のほか、やわらかく使用感にすぐれた入れ歯など、さまざまな素材と入れ歯のバリエーションをご自由に選択することができます。

●自費の入れ歯のデメリット

  • ・保険が利かず、治療はすべて自己負担のため費用が高額になります。

■「動かない入れ歯」インプラントオーバーデンチャーについて

◎インプラントで入れ歯を固定します

インプラントオーバーデンチャーとは、患者様のあごの骨にインプラントを2本~4本(埋め入れる本数はお口の状態によって異なります)埋め入れ、インプラントで上下どちらかの片あごすべての総入れ歯を支える義歯治療です。
インプラントオーバーデンチャーはあごの骨と結合したインプラントによって入れ歯が固定されるため安定性が非常に高く、「動かない入れ歯」として現在、高い人気を博しています。

○インプラントオーバーデンチャーのメリット

  • ・入れ歯がズレる、はずれるといった不具合がほとんどなくなります。
    ・高い安定性があり、食事中もしっかりと食べ物をかめるようになります。
    ・すべての歯をインプラントでおぎなう治療よりも身体的負担と経済的負担を減らすことができます。

●インプラントオーバーデンチャーのデメリット

  • ・保険が利かず、治療はすべて自己負担のため費用が高額になります。(インプラントオーバーデンチャー(片あごの場合)・・・約70万~150万円
    オールオンフォー(4本から8本以上のインプラントを入れる治療方式)(片あごの場合)・・・約180万~240万円)
  • ・安定性が高くなる分、入れ歯にかかる力が増えてしまい入れ歯が割れたりすり減りやすくなります。
    ・インプラントを埋め入れる外科手術が必要となるため、身体的、精神的負担が増します。
    ・インプラントと総入れ歯双方のメンテナンスが必要になります。
    ・1本でもインプラントに不具合が発生するとバランスが崩れてしまい、総入れ歯を使えなくなる可能性があります。

【入れ歯はご自身のお口の症状やご予算に合わせたものを作りましょう】

保険の入れ歯と自費の入れ歯の違いについてご説明をさせていただきました。

こうして比べると、「保険の入れ歯はダメ」のように見えますが、けっしてそんなことはありません。
保険で作る入れ歯も食べ物をかむことはもちろんできますし、現在の保険の入れ歯はできるだけ自然な歯の色合いに近づけて義歯が作られているため、見た目もそれほど悪くはありません。
しかし、「本当に自分自身のお口の形に合った入れ歯」をお望みであれば、やはり治療により時間をかけてもらえて、なおかつ素材もさまざまなものから選ぶことができる自費の入れ歯を作ることをおすすめします。

入れ歯はご自身のお口の症状やご予算に合わせ、治療前に歯科医師とよく相談した上で作るようにしましょう。

当院での入れ歯治療について詳しくはこちらもご覧ください。


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わかば歯科クリニック 理事長 板野 賢

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  • -この記事を監修した歯科医-
    わかば歯科クリニック院長 板野 賢
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