『歯列矯正』と聞くと、「子どものうちに行うもの」とイメージされる方が多いのではないでしょうか。
実は、矯正治療は大人になってからでも受けることができます。
大人の矯正治療は子どもと比べた場合、しっかりと歯が生えそろって定着しているため歯列矯正にはより時間がかかりますが、現在は日本国内でも歯に対する意識が高まってきており、成人後に歯列矯正を受けて歯並びを整える人が増えてきています。
今回は、大人になってから行う歯並び矯正についてご説明をさせていただきます。
歯列矯正によって歯並びが整うと、見た目が綺麗になるだけではなく、口の中や全身の健康面にも良い影響があります。
歯列矯正の一番のメリットは、歯並びが整うことで見た目が美しくなり、コンプレックスを解消できる点です。
矯正治療を受ける前は人前で大きく口を開けて笑うことができなかった方も、治療後には自分の歯並びに自信がつき、口を開けて笑えるようになります。
歯の位置が本来あるべき場所に収まることで、かみ合わせも整ってきます。
かみ合わせが整うと、きちんと食べ物をそしゃくすることができるようになります。
その結果、胃腸などの消化器系の器官にかかる負担が減るほか、特定の歯に強い力がかからなくなるため、矯正治療後、歯並びとともに歯ぎしりも改善された、というケースもあります。
歯並びがそろうと歯磨きや歯間ブラシ、デンタルフロスがしやすくなります。
また、歯のあいだに食べ物が詰まりにくくなるため、虫歯や歯周病を発症するリスクを下げることができます。
歯列矯正によってかみ合わせが整うと、頭蓋骨のバランスや背骨のバランスも自然と改善され、腰痛や身体の不調が解消されるケースがあります。
歯列矯正を受けてきちんとそしゃくできるようになると、表情筋が活発に使われるようになるため、顔の左右のゆがみやシワを解消する効果を期待できます。
また、顔の印象が良くなると、自然と笑顔になる機会が増えます。
さらに、しっかりとそしゃくすることであごの筋肉をよく使うようになり、あごの筋肉から刺激が脳に伝わって唾液の分泌が増えます。
唾液は消化を助ける働きがあるため、食事の際に胃腸にかかる負担が減るほか、唾液が持つ殺菌・抗菌・自浄作用によって虫歯や歯周病の発症リスクを下げることができます。
このように、大人の歯列矯正は歯の見た目や顔の表情を美しくすることができ、身体の内側もより健康になるなど、たくさんのメリットがあります。
ブラケット矯正とは、ブラケットという部品とワイヤーを歯に装着して歯並びを整えてゆく方法で、もっともベーシックな矯正治療となります。
ブラケット矯正の種類には、矯正器具を歯の表側に装着する表側矯正や歯の裏側に装着する裏側矯正のほか、人目につく上の歯には裏側矯正、普段は唇で隠れている下の歯には表側矯正を行うハーフリンガル矯正などがあります。
ブラケット矯正は矯正器具が見えるため目立ちやすい、というデメリットがありますが、矯正治療の方法の中では歯を動かす力がもっとも強いため、さまざまな歯並びの症状に適応できる、という特徴があります。
マウスピース矯正とは、患者さんがご自宅で自分自身でマウスピースを装着することによって歯並びを整えてゆく方法です。
マウスピース矯正で使用するマウスピースは取り外し可能でお手入れがしやすく、就寝中の時間を利用すれば矯正していることを家族以外の人に知られずに済むなど、メリットが多いのが特徴です。
しかし、マウスピース矯正は従来のブラケット矯正と比べると歯を動かす力が弱く、軽度の歯並びの乱れにしか適応できない、というデメリットがあります。
セラミック矯正とは、陶器でできているオールセラミッククラウンを歯にかぶせて歯並びを整える方法です。
セラミック矯正はブラケットやワイヤーなどの矯正器具を使わない治療法であり、歯そのものを動かさずに比較的短期間で歯並びを整えることができる、というメリットがあります。
しかし、セラミック矯正はかぶせ物をする際に歯の神経を抜く必要があるなど、デメリットも存在しています。
部分矯正とは、目立つ前歯の部分のみを上記のブラケット・マウスピース・セラミックなどの方法で整えていく矯正治療です。
部分矯正は前歯だけの矯正ですが、一番目立つ前歯の歯並びを整えることで口の中全体の印象を良くすることができるほか、全体の歯並びを整える場合と比べて短期間で治療が完了する、治療にかかる費用が比較的安価で済む、など、メリットが多いのが特徴です。
ただし、部分矯正ではすべての歯の歯並びやかみ合わせを整えることはできないため、全体の歯並びを治したいときには部分矯正ではなく通常の歯列矯正を行う必要があります。
まだ歯の位置が定まっていない子どもと比べ、大人は歯がしっかりと定位置に生えそろっているため歯列矯正の際に強い負荷を歯にかける必要があり、治療期間中に痛みを感じることがあります。
治療期間中の痛みがあまりにも長引く場合には鎮痛剤を処方するなどの対処を行い、様子を見ます。
大人の歯はすでにあごの骨が固まった状態になっているため、歯が動かずに矯正治療の効果が得られないケースがあります。
そのような場合には従来のブラケット矯正ではなくセラミック矯正を用いるなど、歯を動かす必要がない矯正方法を用いて対処を行います。
大人の歯列矯正を行うときに無理に歯を動かそうとすると移動させたくない歯を動かしてしまったり、歯の根の周辺の骨が溶けるなど、歯にダメージがおよんでしまうケースがあります。
このようなケースでは、歯を動かさずに歯並びを整えるセラミック矯正などを行い、対処します。
ここまでの項でもお伝えしたとおり、大人の歯は定位置で固まっている状態のため歯を動かすのに時間がかかることが多く、症状によっては3~5年以上の治療期間を必要とするケースもあります。
「大人の歯列矯正の種類」および「矯正治療のメリットとリスク」についてご説明をさせていただきました。
すべての世の中の物事に対して「100%完璧」と断言できないのと同様に、大人の歯列矯正は失敗するケースもあるなど、必ずしも成功するとは限らない治療のため、歯列矯正を受ける前には自分自身でしっかりとリスクを把握しておく必要があります。
治療で発生するリスクを確認した上で歯列矯正をすることを決めたときには、しっかりと歯科医院の下調べを行い、矯正の実績が多く信頼できる歯科医師の下で治療をお受けになることをおすすめします。
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