唾液と虫歯の関係

唾液は私たち人間にとって欠かせないもののひとつです。
唾液が分泌されることによって体内の水分量が調節されるほか、食べものをかみやすく、飲み込みやすくするのも唾液のおかげ、そして唾液は虫歯や歯周病を予防する力も持っています。
今回は、上記以外にもさまざまな役割を持つ唾液について、ごいっしょに確認してゆきましょう。

歯を痛がる女性の写真

■唾液の働き

唾液は奥歯の周辺、頬の内側に2箇所の耳下腺、あごの下に2箇所の顎下線、舌の下側に2箇所の舌下線の合計6つの唾液線とお口の粘膜にある小唾液腺から分泌されています。
唾液には、

1.虫歯を防ぐ
2.歯の再石灰化をうながす
3.生えてきた歯の表面を硬くして丈夫にする
4.食べものを食べやすく、飲み込みやすくする
5.でんぷん質を分解する
6.口の中の酸性度(ph)を一定に保つ
7.口の中の粘膜を保護する
8.口の中を洗い流して清潔に保つ
9.口の中の余分なものを排泄する
10.体内の水分量を調節する
11.辛味や苦味を薄める
12.食べものを美味しく感じさせる
13.殺菌と抗菌作用

などの働きがあり、唾液が持つ力は健康維持における非常に重要な役割を果たしています。

■唾液は虫歯・歯周病予防に力を発揮する

通常、お口の中の酸性度は中性に保たれています。
しかし、食事をするとお口の中にひそんでいる虫歯菌が食べものに含まれている糖分をえさにして活動し始め、酸をだします。
すると、お口の中は虫歯菌がだした酸と食べものの酸によって一時的に酸性に傾きます。
そして、お口の中の酸性の状態が続くと歯の表面物質のエナメル質やリン酸が溶けてしまう「脱灰(だっかい)」という現象が発生します。
この脱灰が、虫歯の始まりです。

唾液には、脱灰で溶けてしまった歯を守る働きがあります。

食事のあとしばらく経つと、唾液が酸を中和してお口の中を中性に戻すとともに、脱灰によって溶けてしまった歯のエナメル質を唾液の中に含まれているカルシウムやリン酸が修復する「再石灰化(さいせっかいか)」が行われます。
お口の中で繰り返し行われる脱灰と再石灰化によって歯は少しずつ硬くなっていき、虫歯に強い歯になります。

また、唾液には歯周病を予防する働きもあります。
歯周病は歯と歯ぐきの境目にある歯周ポケットという溝に歯周病菌が入り込むことによってひきおこされますが、唾液にはプラークにひそんでいる歯周病菌を洗い流す自浄作用があるほか、唾液に含まれるラクトフェリンやリゾチーム、免疫グロブリン等の成分は歯周病菌を始めとするさまざまな細菌類を殺菌する作用があり、歯周病の予防につながっています。

■唾液の分泌を減らす行為

●喫煙

タバコを吸う喫煙行為は唾液を減らしてしまうことが明らかになっています。
タバコに含まれているニコチンには体内の血管を収縮させる作用があり血流が悪化するほか、ニコチンによって交感神経が刺激されることで唾液の分泌が抑制されてしまいます。

●飲酒

お酒にはアルコールが含まれており、飲酒をすると体内ではアルコールを分解するために大量の水が消費されるようになります。
体内で大量の水分が使われるようになると身体は水分が不足した状態におちいり、結果として唾液の分泌も減ってしまいます。

●口呼吸

通常、人間の呼吸は鼻で行うものですが、口で呼吸する口呼吸の習慣がある人は唾液の分泌が少ないことが判明しています。
口呼吸は常に口で呼吸をするためお口の中が乾きやすく、粘膜も乾燥してしまうため、唾液の分泌が減ってしまいます。

●睡眠

睡眠は人間にとって必要不可欠であり、意図的に行う喫煙や飲酒とは性質が異なるものの、寝ているあいだは唾液の分泌が減ることが明らかになっています。
睡眠中に唾液が減る理由は、起きているあいだは食事や会話などで唾液線が刺激され唾液の分泌がうながされているのですが、睡眠中には刺激が少なくなるため唾液の分泌量が減ってしまうほか、寝ているときは無意識に口呼吸になりやすくお口の中も乾きやすくなるため、唾液が分泌される量が減ってしまいます。

●食べものをよくかまずに飲み込む(がっつき食べ)

唾液は、食べものをよくかまずに飲み込む、いわゆる「がっつき食べ」でも分泌量が減ってしまいます。
通常、食事をよくかんで食べる人の場合、食べものをかむと咀嚼(そしゃく:かみくだくこと)によって唾液線が刺激され、唾液の分泌が増えるのですが、食事の際にあまりかまずに食べものを飲み込むがっつき食べのクセがある人は、咀嚼がしっかりと行われていないため唾液線に十分な刺激が与えられず、結果として唾液の分泌が減ってしまいます。

【まずは歯を磨く習慣から】

このように、唾液は日常生活で何気なくしているクセや習慣によって分泌量が減ってしまうおそれがあるため、上記の行為はできるだけ控えるとともに、さらに生活習慣を見直して改善することで唾液の分泌量が増え、虫歯や歯周病予防につながります。
また、就寝中は唾液の分泌量が減りお口の中の自浄作用が弱まって虫歯にかかりやすい状態となりますので、寝る前には必ず歯磨きをする習慣をつけるようにしましょう。

当院での虫歯治療について詳しくはこちらもご覧ください。


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わかば歯科クリニック 理事長 板野 賢

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