睡眠時無呼吸症候群の原因と治療法

睡眠時無呼吸症候群とはSAS(Sleep Apnea Syndrome)とも呼ばれ、文字通り「寝ているあいだに呼吸が止まってしまう病気」のことを指します。
ただし、呼吸が止まる、と言ってもずっと止まっている訳ではありません。
医学的には「10秒間以上体内の空気の流れが止まること」を無呼吸と定義しています。
そして、無呼吸が睡眠時の1時間に5回以上、または7時間の睡眠中に30回以上あれば睡眠時無呼吸と判定されます。
睡眠時無呼吸症候群は寝ているあいだに起こる症状のため自分自身では病気の存在に気づきにくい、という特徴があります。
また、睡眠時無呼吸症候群を発症するとしっかりと脳を休められなくなり質の高い睡眠が取れなくなるほか、寝ているときに激しいいびきをかくようになったり、抑うつ、集中力の低下、といった症状が現れてきます。
さらに、睡眠時無呼吸症候群は不整脈や虚血性心疾患、脳血管障害、糖尿病など命にかかわる重篤な病気を発症する原因にもなります。

ここでは「睡眠時無呼吸症候群の原因と治療法」についてご説明をさせていただきます。

いびきのイラスト

■睡眠時無呼吸症候群になる原因

睡眠時無呼吸症候群を発症する原因は大きく分けて2種類あります。
1つ目は、空気が通る上気道が物理的に狭まってしまい呼吸が止まる「閉塞性睡眠時無呼吸」(OSA)。
2つ目は、脳の呼吸中枢の異常によって睡眠時に呼吸が止まる「中枢性睡眠時無呼吸」(CSA)です。

1-1.閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)

◎気道やのどがふさがってしまうタイプです

OSAは気道やのどがふさがってしまうタイプの睡眠時無呼吸症候群です。
睡眠時無呼吸症候群の患者さんの9割以上がOSAによって病気を発症することが明らかになっています。
OSAをひきおこす原因としては、舌の付け根が寝ているときに下方に落ち込む舌根沈下のほか、のどや首のまわりの脂肪の沈着や扁桃肥大、口蓋垂(こうがいすい:いわゆる「のどちんこ」)の沈下、軟口蓋(なんこうがい:口腔上壁の後ろにあるやわらかい組織)の沈下、などがあり、これらが要因となって上気道やのどの空気の通り道が狭められてしまい、OSAを発症します。

1-2.中枢性睡眠時無呼吸(CSA)

◎呼吸指令が脳からでなくなるタイプです

CSAは呼吸指令が脳からでなくなってしまうタイプの睡眠時無呼吸症候群です。
CSAは脳の呼吸中枢の異常によってひきおこされる病気であり、睡眠時無呼吸症候群を発症したケースでCSAに該当するのは数%程度とそれほど多くありません。
CSAは物理的に気道が狭まるOSAとは異なり、気道は開いたままで胸郭や肺、末梢神経や呼吸筋には問題がないのに脳からの呼吸指令がだされない状態です。
睡眠時に何とか呼吸をしようとする動きが各器官や呼吸筋に見られるOSAに対し、CSAは脳から呼吸指令自体がだされないため睡眠時に「身体が呼吸をしようとする努力」が見られない、という特徴があります。

■睡眠時無呼吸症候群の治療方法について

睡眠時無呼吸症候群の治療方法は診療科目によってそれぞれアプローチの仕方が異なります。
主な治療法としては以下の4つの方式があります。

2-1.マウスピース治療(歯科)

物理的に気道がふさがってしまうOSAに対して有効な治療法です。
就寝の際に下あごを前方にだして空気の通り道を確保したのち、マウスピースを装着してあごがずれないように固定します。
歯科で行うマウスピース治療は自宅で手軽に行うことができ、出張や外出、旅行先にもマウスピースを携行できる、という利点があります。
なお、OSA用のマウスピースは歯科医院でのみ作成・処方が可能となります。

2-2.CPAP(シーパップ)治療(耳鼻咽喉科・呼吸器科)

就寝前にマスクを装着して気道に圧力(陽圧)をかけ、閉塞を防いで空気の通り道を確保する治療法です。
物理的に気道がふさがるOSAに対して有効な治療法のひとつですが、呼吸の状態にかかわらず一定の圧を気道にかけ続けるため患者さんによってはマスクを装着している際に違和感や不快感を感じてしまうケースもあります。
診療科目は耳鼻咽喉科と呼吸器科になります。

2-3.在宅酸素治療(HOT)(呼吸器科)

マスクを装着して就寝時に酸素を少量吸引する治療法です。
呼吸指令が脳からでなくなるCSAに対して有効な方式のひとつであり、眠りの質や呼吸を改善する効果を期待できます。
診療科目は呼吸器科になります。

2-4.ASV治療(呼吸器科)

CSAに対して有効な方式であり、就寝前にマスクを装着して気道に圧力(陽圧)をかけ、空気の通り道を確保して呼吸を改善していく治療法です。
陽圧を気道にかけるという点ではCPAPと似ていますが、CPAPが常に一定の圧を気道にかけ続けるのに対してASVは呼吸に合わせて圧を増減させるため就寝時の快適性に優れており、HOTやCPAPよりも治療効果が高いことが研究によって明らかになっています。
診療科目は呼吸器科になります。

【まずは歯科医院で診察を受けましょう】

睡眠時無呼吸症候群は物理的に気道がふさがるOSAが原因なのか、それとも呼吸中枢が指令をださなくなるCSAが病気をひきおこしているのかによって対処法が異なってきます。
また、治療の効果もそれぞれの患者さんによって差がでてくるため、自分に合った治療法をしっかりと見極めることが大切です。

自分自身の症状に適している治療方法がわからないときにはまずは歯科医院で診察を受けて気道の状態を確認してもらい、どの方式が合っているのかを担当の歯科医師にたずねてみましょう。
その上でもし、歯科医院で行うマウスピース治療が適さない場合には耳鼻咽喉科や呼吸器科を受診して適切な治療方法を探していくことをおすすめします。

当院の診療について詳しくはこちらもご覧ください。


午前診療時間:9:30〜13:00

午後診療時間:14:30〜20:00

※木曜日の午後は18:00まで ※土曜日は9:00-14:00
※急患随時対応いたします

休診日:土曜午後・日曜日・祝祭日

千葉県浦安市堀江1-10-14第二角万ビル201

「東西線浦安」駅より4番・12番バス5分「堀江東」駅下車徒歩1分
JR京葉線「舞浜」駅より4番・12番バス10分「堀江東」駅下車徒歩1分

わかば歯科クリニック 理事長 板野 賢

  • 院長写真
  • -この記事を監修した歯科医-
    わかば歯科クリニック院長 板野 賢
    プロフィールはこちら