フッ素について

フッ素(フッ化物、フッ素化合物)には、歯に付着するプラーク(歯垢)の中の細菌が増殖するのを抑える効果や、溶けてしまったエナメル質の修復、歯質強化など、虫歯の発生を防ぐ効果があります。
ここでは、注目の虫歯予防成分「フッ素」の効果や使い方についてご説明をさせていただきます。

子供の歯の写真

■フッ素とは?

フッ素は、さまざまな虫歯予防効果を持つ成分の一つです。
フッ素製品にはご家庭で使用可能な「フッ素入り歯磨き粉」や「ジェルタイプのフッ素」、「フッ素入りの洗口液」のほか、歯科医院で用いる「フッ素ゼリー」などがあります。
フッ素の主な働きとしては、以下の3つがあります。

1-1.お口の中で発生する「酸の産生」を抑制

人のお口の中には、常に300~700種類、1.000億~1兆個の数の細菌が棲みついています。
その中でも虫歯をひきおこす原因となるミュータンス菌は、歯に付着するプラークに含まれている糖質をエネルギー源として活動しており、歯磨きで落としきれなかったプラークにひそんでいる虫歯菌が酸を出すこと、そして食べカスに含まれている酸によって歯の表面物質であるエナメル質が溶かされる、「脱灰(だっかい)」という現象が発生します。
この脱灰が、虫歯の始まりです。

フッ素にはプラークにひそんでいる虫歯菌の働きを弱め、虫歯菌が出す酸の量を抑える効果があります。

1-2.歯の「再石灰化」を促進

脱灰によって溶けてしまった歯の表面は、そのままの状態が続くとやがて歯に穴が開き、虫歯が進行してゆきます。
しかし、お口の中では歯から溶け出したカルシウムやリンなどのミネラル成分を唾液に含まれているカルシウムイオンとリン酸イオンが修復する「再石灰化」が行われており、虫歯が進行するのを食い止めています。

フッ素にはこの再石灰化を促進する効果があることが研究により明らかになっています。

1-3.歯質を強化

フッ素には歯の表面物質であるエナメル質を強化する働きがあります。
フッ素によってエナメル質が丈夫になることで、虫歯菌や食べカスから出される酸が歯についても歯が溶けにくくなります。

■フッ素は「毎日コツコツ続けること」が大切

2-1.脱灰と再石灰化はお口の中で毎日繰り返されています

上の項でお話した脱灰(歯が溶ける=虫歯の始まり)と再石灰化(酸によって溶けた歯を唾液の力で修復する)は、毎日お口の中で繰り返されています。
人の歯はお口の中が酸性になると虫歯にかかりやすくなり(pH値が「5.5以下」になると酸によって歯が溶けやすくなります)、その逆のアルカリ性になると今度は歯石が歯に付きやすくなり、歯石と歯のあいだで菌が増殖して歯周病にかかりやすくなる、という性質があります。

口腔内pH値と虫歯・歯周病の関係:

酸性 中性 アルカリ性
pH値 0 7 14
お口の中の状態 虫歯になりやすい
(歯が溶けやすい)
虫歯になりにくい
(理想的な口内環境)
歯石が付きやすい
(菌が増えやすくなる
=歯周病になりやすい)

アルカリ性については酸性の状態のように歯が溶けやすくなることはないのですが、アルカリ性の状態が続くことで歯石がつきやすくなるため、歯にとってはお口の中のpH値がアルカリ性に極端に傾きすぎるのも良くありません。
(ただし、極端でなければお口の中はアルカリ性に傾いていた方が虫歯にかかりにくくなります)

このため、虫歯を防ぐにはできるだけお口の中を中性に保つ必要があります。
フッ素には歯の脱灰を抑えて再石灰化を促進する働きがありますので、毎日コツコツとフッ素を使い続けることによってお口の中の状態が中性に近づくようになり、虫歯予防の効果を期待できます。

2-2.初期の虫歯であればフッ素とその他のケアで修復が可能です

虫歯には症状が比較的軽い虫歯から重度のものまでさまざまな進行段階がありますが、フッ素とその他のケアを活用することで、初期のC0、C1の虫歯であれば歯を修復することが可能です。
C0やC1の初期虫歯は歯の表面物質のエナメル質が脱灰によって溶けている状態であり、この段階のうちにフッ素やMIペーストなどのリカルデント剤(カルシウムやリンが配合された塗布用クリーム)を使用することで再石灰化が促進され、虫歯によって表面部分が溶けた歯が修復する効果を期待できます。

■大人でもフッ素は効果があるの?

3-1.フッ素は子どもの虫歯予防に効果的です

フッ素は、永久歯が生える前の乳幼児期や歯磨きが上手にできない子どもに使うことで効果的な虫歯予防が可能となります。
特に子どもの時期には歯質がやわらかいため虫歯になりやすく、歯磨きだけではどうしても磨き残しが発生しますので、フッ素が含まれている歯磨き粉や洗口液を使うことで歯質を強化しながら虫歯を予防する効果を期待できます。
なお、フッ素は虫歯予防に有効な成分ですが、あまり大量に使いすぎてしまうと「歯のフッ素症」という状態になり歯の発育不全がひきおこされるおそれがあります。
子どもがフッ素を使用する場合には「製品が定めた適正な使用量」をしっかりと保護者の方が確認したうえで、使うようにしてください。

3-2.もちろん大人にもフッ素は有効です

子どもの虫歯を防ぐ、という点においては特に有効な成分の一つであるフッ素ですが、ではフッ素は大人の虫歯予防には効果がないのでしょうか。
いいえ、そんなことはありません。
フッ素が持つ再石灰化や歯質強化の働きは大人の歯にも同様に作用します。
特に大人になるとそれまでに治療してきた虫歯が再発する「二次カリエス」や、部分入れ歯やブリッジなどの義歯を支えている部分の歯が虫歯にかかりやすくなるほか、生活リズムが不規則になり歯磨きをきちんと行わなくなる人も多く、虫歯のリスクが上昇することがあります。
このため、成人の方でも日常的にフッ素を使い続けることにより、虫歯を予防する効果を十分に期待できます。

【セルフケアとプロケアの両面からフッ素を活用することをお勧めします】

フッ素は、ご自宅で行うセルフケア、そして歯科医院で受けるプロケアの両面から活用することで、虫歯を防ぐ作用をより高めることが可能となります。
フッ素は正しい用量を守ったうえで毎日欠かさずに使用し、効果的に虫歯予防を行うことを心がけるようにしましょう。

当院での歯の予防について詳しくはこちらもご覧ください。


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わかば歯科クリニック 理事長 板野 賢

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