口腔がんについて

口腔がんとは、口の中にできるがんの総称です。
日本国内では年間に約6,000人が口腔がんを発症しており、そのうちおよそ3,000人もの方々が口腔がんによって命を落としています。
アメリカを始めとする西欧の先進諸国では口腔がんの早期発見・早期治療に力をいれているため、患者数および死亡率は減少傾向にあるとされています。
しかし、日本はその真逆で、口腔がんにかかる確率と死亡率は年々上昇し続けています。
これは、日本では口腔がんが一般の方々にあまり知られておらず、多くのケースにおいてがんの症状が進むまで放置してしまっていることが原因です。

このように、患者さんの約半数の方が亡くなっている口腔がんは日本国内では死亡率が非常に高いがんとなっていますが、すべての病気がそうであるように口腔がんも早めに発見、早めの治療を行うことで生存率を高めることができます。

今回は、「口腔がん」について詳しくお話をさせていただきます。

口腔がんのイラスト

■口腔がんの基礎知識

口腔とは口の中全体を指し、口の中にできるがんのことを総称して「口腔がん」と呼びます。
口腔がんには舌にできる「舌がん(ぜつがん)」がもっとも患者数が多く、次いで歯ぐきにできる「歯肉がん」が第2位となっています。
ほかにも「口蓋がん」「口唇がん」「頬粘膜がん」「口腔底がん」などがあり、これらはすべて口腔がんに分類されます。

口腔がんの発生確率はがん全体のおよそ1~3%となっており、総数としてはけっして多くはありません。
また、内臓にできるがんと異なり口腔がんは外から確認することが比較的容易なため、早期発見しやすいがんでもあります。
ところが、胃がんや大腸がん、乳がんなどのメジャーながんと比べると口腔がんは知名度が低く、一般の方々にあまり知られていないため発見が遅れやすく、口腔がんによって命を落としてしまうケースが少なくありません。

■早期発見時の生存確率は「90%以上」

口腔がんを発症した人の5年生存率(がんと診断されてから5年後に生存している確率)は平均で「60~80%」となっています。
さらに早期発見・早期治療をすれば5年生存率は「90%以上」というデータもあります。
このことから、口腔がんは早めに発見し適切な治療を行えばほとんど後遺症を残さず、かなり高い確率でがんを治すことが可能です。
しかし、口腔がんが進行してしまうとあごの骨や舌の切除が必要となるケースが多いため手術後は会話や食事が困難になり、日常生活に支障が残ってしまいます。
このように、口腔がんは治療が遅れると大きな障害が残りやすい点も大きな特徴のひとつとなっています。

■口腔がんの症状と主な発症要因(リスクファクター)について

◎口腔がんの症状

・口の中が痛む
・口の中に腫れやただれ、しこりがある
・口の中の出血
・歯がぐらぐらしてくる
・口臭がする

これらの症状は虫歯や歯周病、口内炎でも起きるため、口腔がんと見分けるのがむずかしいです。
もし、「舌や歯ぐきに盛り上がりがある」「口の中に硬いしこりができた」「口内炎がなかなか治らない」などの症状があるときには、ただちに口腔外科で診察を受けるようにしてください。

◎口腔がんを発症する主な原因(リスクファクター)

●喫煙

喫煙はほかのがんと同様、口腔がんを発症するもっとも大きなリスクファクターです。

●飲酒

アルコールと口腔がんの因果関係についてはまだはっきりと解明されていません。
しかし、体内に入ったアルコールがアセトアルデヒドに変わり、アセトアルデヒドが細胞内のDNAを傷つけてがんがひきおこされると考えられています。
また、アルコールを摂取すると口腔内やのどの細胞が発がん性物質を取り込みやすくなる、とする報告があります。

●栄養不良やストレス

偏った食生活を続けたり栄養が十分に足りていない場合、身体の免疫機能が低下して口内炎や口の中にただれができたり、口腔内の粘膜の炎症ががんになることもあります。
また、ストレスも口の中の異常や病気をおこす引き金になります。

●口腔内のお手入れ不足

毎日の歯磨きをしっかりと行わず口の中のお手入れが不足していると歯垢や歯石が歯に付着して口腔内の細菌が増殖し、口腔がんを発症しやすくなると考えられています。
また、自分に合っていないブリッジや入れ歯を使い続けることで慢性的な刺激を口腔内に与えてしまい、義歯が原因で口腔がんがひきおこされるケースもあります。

【歯科医院が口腔がん予防でできること】

今回は口腔がんについてご説明をさせていただきました。

口腔がんを診察・治療する科目は原則として口腔外科となります。
しかし、ふだんから歯科医院に定期的に通い、虫歯や歯周病の有無や入れ歯の不具合をチェックしておくことで、口腔がんの発症リスクを下げることができます。
また、定期検診と合わせて以下の点に気をつけることも口腔がんの予防につながります。

①喫煙、飲酒は控える。(可能であれば禁煙をし、お酒は適量にとどめておくのがベター)

②偏った食事を控え、栄養バランスに優れた食生活を心がける。

③毎日の歯磨きやオーラルケアを欠かさずに行う。

④虫歯や歯周病、詰め物が取れてしまった歯や入れ歯の不具合は放置せず、なるべく早めに歯科医院で診察・治療を受ける。

⑤日々の生活でストレスをできるだけためないようにする。

歯科医院の定期検診では虫歯や歯周病の有無を確認するほか、歯のクリーニングや歯磨き指導、入れ歯やブリッジのメンテナンスなどを行います。
口腔がんを予防し口の中の健康を保つためにも、歯科医院で定期的にメンテナンスを受けることを心がけるようにしましょう。

当院での歯の予防について詳しくはこちらもご覧ください。


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わかば歯科クリニック 理事長 板野 賢

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