「私の歯にシミがある?」鏡で自分の歯を見て、そう感じたことはありませんか?
コロナ禍でマスクを付ける機会が続き、自分の顔を鏡で見る機会が減っています。
久々に鏡で自分の歯を見たとき、歯に出来た白いシミや斑点模様に気付き、気になった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、歯のシミのホワイトスポットとブラウンスポットの原因や治し方、歯医者の治療は保険適用になるのかについて解説します。
歯のシミが気になる方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
この記事で分かること
歯の表面にできるシミは、白いシミはホワイトスポット、茶色いシミはブラウンスポットと呼ばれています。
ホワイトスポットとブラウンスポットができるのは、初期むし歯、エナメル質形成不全、歯牙フッ素症が原因とされています。
ホワイトスポット・ブラウンスポットの原因は外因性と内因性の2つに分けることができます。
外因性・内因性のどちらか? | 原因 | 歯の表面にできるシミの色 |
---|---|---|
外因性 | 初期むし歯 | 白濁 |
内因性 | エナメル質形成不全 | 白濁、褐色 |
内因性 | 歯牙フッ素症 | 白色、黒褐色、褐色 |
それぞれ、生活習慣や生活背景、遺伝などが関わってくるため、気になる方は参考にされてみてください。
次の項目でホワイトスポットとブラウンスポット、それぞれの特徴について解説します。
ホワイトスポットとは、歯の表面に出来る白いシミ(斑点模様)のことを言います。
歯の表面のエナメル質が、さまざまな原因によってカルシウム成分が少なくなり、白濁してしまう現象です。
病気や生活に支障を起こすようなものではありませんが、前歯にホワイトスポットがあり、コンプレックスを抱えている方はいらっしゃるのではないでしょうか。
「歯に白いシミが出来たなら、ホワイトニングをすれば消えるのではないか?」と言う方がいらっしゃいますが、実はこれが大まちがいなんです。
むしろホワイトニングをするとホワイトスポットは目立ってしまうため、おすすめできません。
また、ステイン除去やホワイトニング効果のある歯磨き粉や、歯科医院でのクリーニングを受けても解消されないため、歯科医院での適切な治療が必要となります。
ブラウンスポットは主に、初期虫歯が原因で起きる茶色いシミのことを言います。
口の中に汚れが残り続けると、歯はむし歯菌が作り出した酸で溶かされます。
表面のエナメル質が溶けて白っぽくなった状態を脱灰といいます。
唾液には、脱灰した部分を補うため、唾液中に含まれるカルシウムの成分で元に戻ろうとする性質があるのです。
これを再石灰化といい、その過程で色素成分が入り込んでしまうと、一緒に吸収され歯の表面に茶色いシミのようなものが出来てしまいます。
これをブラウンスポットといいます。
ホワイトスポットと同様に、ステイン除去に効果のある歯磨き粉や、歯科医院での着色取りの清掃方法(エアフロー)を受けても改善しません。
ブラウンスポットが気になる場合、歯科医院で治療の相談をしてみましょう。
【参考】ホワイトスポット|こまい歯科医院
歯にホワイトスポットやブラウンスポットができるのはなぜなのでしょうか?
大きく以下の3つの原因が考えられます。
ここでは、より詳しくその原因について解説していきますので、順番に確認してみましょう。
歯を磨く回数が少なかったり、歯磨きで汚れが落ちきれなかったりすると、口の中に汚れが残ったままになり、むし歯になりやすくなります。
虫歯になる原因となる汚れが、歯垢(プラーク)です。
歯垢は食べカスで出来ていると思っていらっしゃる方が多いのですが、実は細菌の塊で出来ています。
この歯垢の中の虫歯菌が作り出す酸によって、歯のカルシウムやリンが溶けて、白っぽく見えることを『脱灰』といいます。
脱灰が進行していくと、白濁した状態から黒く変色し、虫歯になっていくため早めの予防や定期検診が必要となります。
普段から酸味が強い柑橘系の果物を好んで食べる方や、お酒などをよく飲む習慣がある方は、一般の方と比べて脱灰が進み、歯が脆くなりやすい傾向にあるため注意しましょう。
エナメル質形成不全とは、胎内での歯の形成期に、病気や栄養不良、遺伝など何らかの原因によって歯の表面のエナメル質がうまく作られなかった状態です。
歯の表面が白っぽく見えるだけでなく、薄く白い線が入ったように見えます。
また、歯が生え変わる乳歯のときに外傷や感染が起きると、その後に生えてくる永久歯に影響して、エナメル質形成不全となることがあります。
そのため、赤ちゃんやお子さんに見られるケースも多いです。
エナメル質形成不全は、むし歯や重篤な病気ではないため、そのまま経過を見ても問題はありません。
歯牙フッ素症とは、長期に渡ってフッ化物を過剰摂取することによって生じる慢性中毒症のことです。
飲料水に1ppm以上のフッ素を含む特定の地域に、集中的に発生します。
歯の表面のエナメル質に白濁した点状、線状の変色が見られるのが特徴です。
アメリカやオーストラリアでは虫歯を予防するため「水道水フロリデーション」という取り組みがされており、水道水に高濃度のフッ素を添加しています。
安全性については、専門機関の監査の上で実施されています。
その結果、虫歯の有病状況が実施前の10年前と比べると半分以下になるという結果が出ている一方で、歯牙フッ素症が起きやすくなっています。
日本では水道水フロリデーションは実施されていないため、ほぼ起きることはなく、フッ素塗布でも起きません。
ホワイトスポットとブラウンスポットは、残念ながら自分で治すことや自然に治ることは出来ません。
しかしフッ素を塗布することで、ホワイトスポットとブラウンスポットの進行を抑えられたり、目立たなくすることはできます。
家庭では高濃度のフッ素が配合された歯磨き粉を使用したり、歯科医院でフッ素塗布をすることをおすすめしています。
また、ホワイトスポットに塗布することで歯の再石灰化を促し、歯質を強化するMIペーストの使用もおすすめです。
もし、自宅で進行予防をやってみたい方は、ぜひ試してみてください。
また、手軽に自宅でホワイトニングができるホワイトニング用歯磨き粉というものも販売されていますので、気になる方はチェックしてみてくださいね。
【参考】歯の白い斑点(ホワイトスポット)とは?特徴・原因・治療法を紹介|医療法人弘栄会さくら歯科
ホワイトスポットとブラウンスポットを綺麗に治したいのであれば、一度歯科医院で相談してみるのがおすすめです。
希望する予算や時間に合わせて、適した治療方法を提示してくれるだけでなく、ホワイトスポットやブラウンスポットができた背景を診断してくれます。
専門家に直接診てもらう事で、今後の対処ができ、治療が効率的に進みます。
治療法によってもメリット・デメリットがあるため、事前のカウンセリングが大切です。
「歯のシミである、ホワイトスポットやブラウンスポットを治す方法はあるのか?」
歯のシミを治す具体的な方法として、以下の3つの方法が挙げられます。
ここでは、より詳しくそのホワイトスポット・ブラウンスポットを治す方法について解説していきます。
ホワイトスポットの部分を削り、レジンを詰めて光で固める治療法です。
ダイレクトボンディングの費用総額の相場はおよそ1回で1,500円です。
1日で治療が終わり、原因によっては保険診療が適用されるため、安価で治療したい方におすすめの治療法といえるでしょう。
ただ、保険が適用できるのはむし歯の場合であるため、エナメル質形成不全は適用外です。
自分の歯に合わせた色で治療できますが、最小限歯を削る必要があり、時間の経過とともに変色することもあるため注意が必要です。
また、レジンを詰めた場所と自分の歯との境目に着色が付き、却って目立ってしまった事例があります。
前歯の目立つ場所の治療は、費用とその後の未来を考えながら選択してみてください。
ホワイトスポットがある部分に、薬剤を塗布して目立たなくする治療法です。
Icon(アイコン)治療の費用総額の相場はおよそ20,000円から50,000円です。
自分の歯を削って治療したくない方におすすめの治療法です。
早ければ1回の治療でホワイトスポットが改善し、エナメル質を補強するため再発を防止する効果があります。
ホワイトニングと併用する場合は、先にホワイトニングを実施し、その歯の色に合わせてIcon(アイコン)治療を実施します。
歯を削る必要がなく、薬剤によって痛みが出る可能性も低いです。
ただホワイトスポットの程度が強い場合、効果が出にくかったり、時間が経過すると色が後戻りする可能性があります。
自分の歯に合った治療法なのか、術前のカウンセリングでしっかり確認しましょう。
【参考】削らない白斑治療「アイコン」|くすのき歯科・矯正歯科
歯の表面全体を削り、表面にセラミックなど人工歯のカバーを貼り付ける治療法です。
ラミネートベニアの費用総額の相場はおよそ120,000円から160,000円です。
広範囲にわたっているホワイトスポットとブラウンスポットを伴う場合や、歯の形や色を全体的に変えたい方、着色や変色しないため、長く歯の審美を保ちたい方におすすめの方法です。
セラミックのため、本物の歯と同じように綺麗な白さと形に出来上がります。
しかし、ラミネートベニアを作るため歯型を取る必要があり、人工歯のカバーを作る時間が約2週間ほどかかります。
完成の間は仮歯を付ける必要があるため、通院回数も多くなってしまうこともデメリットです。
今回紹介した治療法の中では最も費用が高いため、歯科医院で歯の形態や噛み合わせの状態なども考慮してみてください。
セラミックは欠けやすい特徴があるため、噛む力が強い方や歯ぎしりをする方にはおすすめしません。
ホワイトスポットとブラウンスポットの治療では、ダイレクトボンディングが保険適用されます。
保険治療は一般的に、審美が目的の処置は保険適用外とされることが多いです。
しかし、ダイレクトボンディングは小さいむし歯の処置に行う治療法であり、保険診療の適用が受けられるため治療費を抑えられます。
1回の来院で治療が終わり、痛みもなく麻酔も必要ありません。
しかし、経年劣化や変色する可能性や、強い衝撃で欠ける可能性があるため、長期的に見て自分がやりたいか判断しましょう。
歯のシミ(ホワイトスポット・ブラウンスポット)でよくある質問をまとめました。
予算や時間の都合に合わせて治療法は変わります。
保険診療で治療したいのであればダイレクトボンディング、歯を削らず治療したいならばIcon(アイコン)治療、歯の形と色を全体的に変えたいのであればラミネートベニアをおすすめします。
さまざまな治療法があるため、自分の希望に合わせて歯科医院で相談してみてください。
初期むし歯は表面のエナメル質が、むし歯菌の酸によって溶かされた脱灰という状態です。
その脱灰が起こったエナメル質を、唾液中の成分によって表面の質を戻そうとする、再石灰化という作用が起こります。再石灰化の際に色素成分も取り込まれることで、茶色いシミのような状態になり、むし歯のように見えることがあります。
ブラウンスポットに歯垢(プラーク)が残り続けると、黒色に変色し、むし歯になるため歯磨きで綺麗に歯垢を落としていきましょう。
歯のシミに当たるホワイトスポットとブラウンスポットは、初期むし歯(むし歯のなりかけ)です。
むし歯とは違い、色は白濁か茶色で、表面が脆く欠けやすくなっています。
ホワイトスポット・ブラウンスポットには歯垢(プラーク)が付きやすいため、むし歯になりやすい可能性があります。
むし歯が進行しないように、高濃度フッ素配合の歯磨き粉やMIペーストを使用する、定期的に歯科医院でフッ素塗布をすることをおすすめしています。
歯のシミであるホワイトスポットとブラウンスポットには、さまざまな原因が考えられます。
ホワイトスポットとブラウンスポットの治療法には、ダイレクトボンディング、Icon治療、ラミネートベニアがおすすめです。
ただし、それぞれ価格と所要時間、メリット、デメリットがあるため事前のカウンセリングでしっかり確認しましょう。
もし症状の進行を抑えたい場合は、高濃度フッ素配合歯磨き粉やMIペーストの使用と、歯科医院でのフッ素塗布を受けてみるのがおすすめです。
ホワイトスポットとブラウンスポットが気になる方は、この記事を参考に、歯科医院で相談してみてくださいね。
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わかば歯科クリニック 理事長 板野 賢