歯の色は人それぞれですが、「歯の神経がない」「歯の神経が死んでいる」などの歯の神経の有無によって、歯の色が灰色っぽくなり、くすんだ色に変化することがあります。
お口の中で1本だけでもこのような状態になっていると、その歯だけ他とは色が違うため目立ってしまいます。
その場合、他の歯と同じように白くしたくて歯の表面にホワイトニング薬剤を塗布しても白くすることはできません。
歯の神経がない歯は、「ウォーキングブリーチ」という治療方法で歯を白くしていきます。
ホワイトニングと同じ種類なのですが、方法が異なる治療です。
では、このウォーキングブリーチとは一体どういった治療なのか詳しく解説していきます。
この記事で分かること
ウォーキングブリーチとは、歯の神経がない歯に対して行うホワイトニングです。
ホワイトニングといっても、歯の表面ではなく、歯の内側に薬剤を塗布することで白くする方法になります。
なぜ、表面からは白くすることは難しいのでしょうか。
歯の構造は大きく3つの層に分けられます。
表面の見えている部分を「エナメル質」、その下にある「象牙質」、更にその下にある「歯髄」です。
ゆで卵をイメージしてもらうと良いかもしれません。
殻の部分がエナメル質、一層中の白身が象牙質、中央の黄身の部分が歯髄という感じです。
この中でウォーキングブリーチに関係してくるのが歯髄です。
歯髄は、歯の神経だけでなく細かな血管が張り巡らされていて、栄養や水分を運んでいく重要な働きがあります。
この歯髄に神経や血管がなくなると、この働きもなくなり、うまく歯の中で代謝ができずに色が変わってしまうのです。
歯髄層までむし歯になってしまうと神経を取らなければいけなくなりますし、事故などで強く歯をぶつけた場合に衝撃で歯髄の中の神経にダメージを与えて中で神経が死んでしまい機能しなくなる場合もあります。
この変色は、歯髄の働きが機能しなくなることで歯の内側から起こるものですので、通常のホワイトニングのように歯の外側から白くしようとしても白くなりにくいです。
ですので、薬剤を歯の中に置いて内側から白くしていく、これがウォーキングブリーチです。
ただし、ホワイトニングと同じ種類の治療ですので、白くなるのはご自身の歯のみです。
神経がない歯と言っても、被せ物をしている歯やレジンと呼ばれるプラスチックの詰め物をしている部分は白くすることができません。
事故などで大きく歯が割れてしまった場合や、むし歯が大きく進行してしまった状態だと、天然の歯が大きく欠けてしまっている状態なので最終的に被せ物をしなければいけなくなりますが、このような歯にはウォーキングブリーチは適応になりません。
ウォーキングブリーチをができるのは、ご自身の天然の歯の部分が残っているということが前提になります。
治療の種類としては、ホワイトニングですので基本的に保険適用外の自由診療となります。
金額や回数などは、歯科医院ごとに異なりますので、通う予定の歯科医院で相談してみてください。
変色している歯のみのホワイトニングになりますので、1本あたりの値段になることが多いです。
神経がある歯かない歯かは、レントゲンなどを撮影することで診断できますので、歯の変色で気になるところがあれば歯科医院で確認してもらいましょう。
その上で、その歯がホワイトニングかウォーキングブリーチのどちらが適応になるのかを確認して施術を決めると良いでしょう。
金額の設定も歯科医院によって異なり、薬代が含まれたり2回分のセット料金になっていたりしますので、5,000円~30,000円と幅広いです。
ウォーキングブリーチは、ホワイトニングの種類のひとつです。
上記で書いてあるように、保険適用外の自由診療となりますのでその治療費はすべて自己負担となります。
ホワイトニングといっても、通常のホワイトニングと比べて家で出来るものは無く、必ず歯医者で行う治療となりますので、歯医者によって金額の設定金額や回数も違いますので事前に調べておくとよいでしょう。
通常のホワイトニングとは異なるウォーキングブリーチですが、手順も大きく異なります。
実際には、どのように行うのでしょうか?詳しく解説していきます。
歯髄の中に今後、歯の神経の代わりとなる薬剤をきちんと詰めていく必要があります。
歯の神経が死んだままの状態だと、そこから細菌感染か起こり、歯の痛みや腫れにつながりますのでまずは、死んだ神経を取り除き消毒していく治療が必要です。
歯髄内が、きれいな状態でないと、ウォーキングブリーチをした際にも白くなりにくい原因にもなります。
また以前に治療していたとしても、細菌感染のリスクがあれば再治療する必要がありますので、レントゲンなどで状態を確認してもらいましょう。
歯髄内から歯の根っこの先までしっかり薬剤を詰めて、感染リスクを低くしていくことでウォーキングブリーチが始められます。
ウォーキングブリーチの薬剤を詰めるため、歯を少し削ります。
前歯の場合は、目立ちにくいように裏側を削ることが多いです。
使う薬剤の量は少量ですので歯を削る量も少ないですし、神経のない歯ですので削る時の痛みもありません。
削った穴に薬剤を詰めます。
薬剤を浸透させることと、ホワイトニングで使う薬剤が漏れてしまうと効果がなくなってしまうため、詰めた後に薬剤が漏れてこないようにしっかりと蓋をします。
そのまま、少しずつ漂白させていくため時間を置きます。
歯科医院ごとに期間が異なりますが、大体1週間から10日ほどです。
この時、色の変化がわかりやすいようにウォーキングブリーチ前の歯の色を鏡で見たり、写真を撮ったりする場合があります。
薬剤を長く置いておけば置くほど白くなるというわけではありませんので、ある程度日にちを置いて白くならなければ再度薬剤の交換が必要になります。
薬剤を置いている期間中、蓋から薬液が漏れてくることがあります。
漏れてきても身体には問題ないのですが、ウォーキングブリーチの効果が低くなりますので、薬のような味がしたり違和感があれば歯科医院へ連絡をしましょう。
また、薬剤を入れ蓋をしている状態ですので歯の中で圧がかかり、痛みが出る場合があります。
その際も、歯科医院へ連絡してください。
ウォーキングブリーチもホワイトニングと同じように効果に個人差がありますので、1回で白くなる人もいれば、徐々に白くなり3回目で白さを実感する人もいます。
施術前に撮っている写真などと見比べながら、続けて薬剤を交換していくか歯科医師と相談していきましょう。
白くなったら、薬剤を取り除いて最終的な詰め物で削ったところを埋めていきます。
埋める材料は、歯と同じ色のものを使います。
最後は、噛み合わせや舌触りに違和感がないように磨いて完了です。
ウォーキングブリーチ後の歯の写真なども撮り、治療前後での色の変化も確認します。
神経がなく、変色してしまった歯を白くするウォーキングブリーチにもデメリットはあります。
では、これらのデメリットついて詳しく解説していきます。
前述していますが、保険適用外ですので費用がかかるのもデメリットの1つでしょう。
歯科医院によって料金が異なりますので、まずはご相談ください。
白くなる効果にはホワイトニング同様に個人差がありますので、白さのコントロールができず、希望の白さにならないこともあります。
白くなってもウォーキングブリーチは、ホワイトニングと同じ種類の治療ですので色の後戻りのリスクがあります。
後戻りも個人差がありますので期間は限定されませんが、1年くらいだと考えておきましょう。
また、ウォーキングブリーチ期間に薬の作用で痛みを感じる場合があります。
薬を入れて蓋をしていますので、圧によって出る痛みですが、ひどい痛みが出た場合は、歯科医院に連絡をしましょう。
ホワイトニング用歯磨き粉を使用することで、歯の白さをキープすることにつながる場合があります。
せっかく白くしたくてウォーキングブリーチをしたのに白くならないことはあるのでしょうか。
結論から言うと、基本的に施術前よりも白くはなります。
しかし、ウォーキングブリーチ前の治療で、細菌感染した部分が治せていない場合や汚れがしっかり除去できていないと白くなりにくい場合があります。
また、ウォーキングブリーチの薬剤が漏れている場合も白くなりにくいです。
薬の味がするなど違和感があったときは、歯科医院へ連絡しましょう。
さらに、天然の自分の歯と全く同じ色だったり、かなり白い色だったりを希望する場合、その白さにならない可能性があります。
こちらに関しては、何か原因があるという訳ではなく、ホワイトニングですので白くなる程度には個人差があるということです。
もうひとつ注意してもらうのが、自分の歯しか白くならないということです。
差し歯と言われる被せ物をしている歯や、歯と同じ色のプラスチックの詰め物は白くなりません。
もし、白くしたいのであれば、被せ物はもっと白い色のものに取り換えて、プラスチックの詰め物に関しては、一旦、ウォーキングブリーチで自分の歯の部分を白くしてから、その色に合わせて詰め直しをする必要があります。
ウォーキングブリーチの施術で理解しておくべき注意点がいくつかあります。
では、この注意点に関して詳しく解説していきます。
ホワイトニングと同様に白くなる効果に個人差があるため、希望している白さにならない場合があります。
薬を入れ蓋をしているため、圧がかかり痛みが出る場合があります。
痛みが出た場合は、歯科医院に連絡しましょう。
天然の歯に比べて弱いということですが、神経のない歯は神経がある歯に比べると弱く、割れたり折れたりしやすいです。
神経がある歯は神経以外にも血管などがあり、歯に栄養が行き渡っています。
しかし、歯の神経がなくなると栄養が行き渡らず、歯が枯れ枝のような状態となるため、弱くなってしまいます。
特にウォーキングブリーチをしている期間は、薬剤を詰めたところは空洞になっているので食事などで硬いものを噛んだり、噛みちぎったりすると割れてしまう可能性があるので注意しましょう。
また、神経を失った歯は「痛み」を感じません。
治療したからといってむし歯ができないというわけではありませんので、再びむし歯ができてしまった際、痛みを感じることができず、むし歯だけがどんどん進行してしまい最悪の場合、歯が折れてしまうということもあります。
むし歯の早期発見・早期治療は神経のない歯にとっても重要なものですので、治療後の歯医者でのメンテナンスは定期的に行うことをおすすめします。
ウォーキングブリーチについてよくある質問をまとめました。
白くなるの回数は、個人差がありますが2〜3回で白さを実感することが多いです。
ウォーキングブリーチは、神経のない歯に行うホワイトニングですので、神経がある歯に対しては通常のホワイトニング施術となります。
ただし、被せ物やプラスチックの詰め物など人工的な材料の物は白くなりませんので、ウォーキングブリーチの対象になる歯かどうかは歯科医院でのご相談をおすすめします。
ウォーキングブリーチ中に薬剤が漏れたり、ウォーキングブリーチ前の歯の治療がうまくできていない場合、白くなりにくくなることはあります。
また、ウォーキングブリーチ期間中にその歯に強い力がかかり、割れたり折れたりしてしまうと被せ物の治療に変更する場合もあります。
ホワイトニングですので、色の後戻りに個人差がありますが、1年ほどです。
日常の喫煙や色味の強い嗜好品などの影響で色の後戻りに影響が出ることがあります。
ウォーキングブリーチは、神経がない歯に対して行うホワイトニングです。
施術や期間などが通常のホワイトニングとは違っていますが、リスクや注意点などは同じです。
鏡を見て1本だけ色が違う歯がある、神経をとる治療をしてもらってから歯が変色してきたなど部分的な歯の色が気になっている人は、参考になれば幸いです。
ホワイトニングしたいけれど、気になる部分はこの歯だけだと思っている方、ウォーキングブリーチで白くなるかもしれません。
歯の色は、コンプレックスになりやすく、歯の色が気になり人前で話したり、笑ったりすることが苦手に思う人も少なくありません。
痛みが出た時だけ歯科医院に行くのではなく、お口の悩みがあるときはまずは、歯医者で相談をしお口の悩みを解決していきましょう。
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わかば歯科クリニック 理事長 板野 賢