歯の黄ばみが気になり、ホワイトニングに興味はあっても、薬剤の作用で歯自体に何か影響が出てしまうのではないかと心配されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ホワイトニングをする際に気をつけるべきポイントはもちろんありますが、ご自身の歯がホワイトニングの適応かどうかを理解した上で正しい使用方法で行えば、歯が脆くなってしまうといったデメリットは避けられます。
こちらの記事では、歯科医師である筆者が実際に歯科医院で勤務してホワイトニングの施術を受けられた患者さんの口の中の状態を診てきた経験から、ホワイトニングによって歯が脆くなってしまう原因や、ホワイトニングができない人やしない方がいい人について解説します。
歯への影響が心配でホワイトニングを受けるかどうか悩まれている方は、是非この記事を参考にしてみてください。
この記事で分かること
ホワイトニングとは、歯にホワイトニング剤を作用させることで、漂白成分が歯の着色物質を酸化・分解し歯を白くする方法です。
ホワイトニングは、歯科医院で行うオフィスホワイトニングと、自宅で作成したマウスピースに薬剤を入れて行うホームホワイトニングの2種類があります。
いずれの場合も、薬剤は過酸化水素または過酸化尿素という漂白成分を主成分としています。
この成分は漂白に用いられる成分で、ホームホワイトニングの場合は厚生労働省で認可されている濃度は10%です。
また、ホワイトニングを行うことで歯の表面の構造が曇りガラス状になり、光の乱反射によって黄ばみ白く見えるとも言われています。
ただし、ホワイトニング後に再度着色性のあるものを摂取することで徐々に後戻りしていきますので、効果は永久的ではないということも念頭に置いておきましょう。
ホワイトニングを行っても期待した効果が得られない場合や、禁忌ではなくても避けたほうが良いケースもあります。
それは、以下の4点に当てはまる場合です。
該当する方もいらっしゃると思いますので、ホワイトニングをするかどうかはリスクも含めて検討しましょう。
重度の知覚過敏がある方はホワイトニングをしない方がいいでしょう。
ホワイトニング後は一時的ではあるものの知覚過敏の症状が出やすくなります。
元々重度の知覚過敏の症状がある場合は、ホワイトニングを行うことでさらにその症状を強めてしまう可能性がありますので、避けたほうが良いでしょう。
神経の無い歯や被せ物が入っている歯がある場合は、ホワイトニングをしない方がいいです。
歯の神経が死んでしまっていたり、神経の治療をして被せ物が入っていたりする場合にはホワイトニングを受けても歯の色は変わりません。
また、部分的にプラスチックで詰め物をしている場合もその部分の色は変わらないので、あくまでも歯の色が変わるのは神経のある歯で自分の歯の部分のみです。
歯の治療の予定がある場合は、歯科医師と相談して治療内容にもよりますが、先にホワイトニングを行ってからその歯の色調に合わせて被せ物の作成や詰め物を行うこともあります。
脱灰している歯がある場合もホワイトニングはしない方がいいでしょう。
脱灰とは、虫歯菌が砂糖などの糖分をエサにして酸を作り、その酸によって歯の表面が溶かされてしまうことです。
脱灰している場合は歯の表面に白い斑点のようなものが見られるのですが、ホワイトニングを行い歯の色が白くなるとその斑点がより目立ちやすくなってしまうことがあります。
ご自身の歯が脱灰しているのかどうか分からないという方は一度歯科医院で診てもらい、ホワイトニングを受けられるか確認してみましょう。
テトラサイクリン歯がある場合はホワイトニングはしない方がいいです。
テトラサイクリン歯とは、永久歯が作られる一定期間の間にテトラサイクリン系の抗生物質を服用していたことが原因で、副作用として歯が変色してしまうことです。
テトラサイクリン歯は歯の色が灰色や黄色を帯びていて、縞模様があるのが特徴です。
テトラサイクリン歯は変色が強く、ホワイトニング剤を使用しても変化があまり見られません。
ホワイトニングには禁忌と呼ばれる、使用できない方がいます。
上記に当てはまる方はホワイトニングは行わないでください。
妊娠中や授乳中の方はホワイトニングができません。
現在のところ、ホワイトニングに用いる薬剤の成分に含まれている過酸化水素や過酸化尿素が、胎児や乳児に影響するのかというエビデンスが無いからです。
そのため、妊娠中・授乳中はホワイトニングは行わない方が安全でしょう。
出産や授乳が終わったタイミングで改めて検討してホワイトニングを始めましょう。
無カタラーゼ症の方はホワイトニングができません。
無カタラーゼ症の方は過酸化水素を分解できないため、ホワイトニングを行ってしまうと薬剤の成分が口の中に蓄積してしまい、口腔壊死の原因になります。
無カタラーゼ症の検査は歯科医院で行うことができますので、心配な方は歯科医師に相談してみてください。
ホワイトニングができない人やしない方がいい人もできる優しいホワイトニングはありません。
歯科医院でのみ取扱のある厚生労働省認可もので、ティオンホームプラチナ・ナイトホワイトエクセル・オパールエッセンスは過酸化水素10%、オパールエッセンスGoは過酸化尿素6%と低めの濃度のため、比較的安心でしょう。
ですが、知覚過敏の症状が出る可能性もあるため、必ずしも歯に優しい成分というわけではありません。
現代では、日本では認可されていない海外製の高濃度のホワイトニング剤がインターネットから簡単に入手出来るようになっています。
そのような高濃度の製品は歯に対する副作用も大きくなる可能性があるため、特にホワイトニングをしないほうがいい人は必ず日本で認可されている製品を歯科医院で相談して購入してください。
また、原則として、ホワイトニングができない禁忌の対象の方は重篤な症状が出る可能性があるため、どのようなタイプでもホワイトニングは行わないでください。
ホワイトニングを行うことで、なぜ歯が弱くなる・ダメージがあると言われているのでしょうか?
主に考えられる要因として挙げられるのは
の3つです。
いずれも必ず起こるというものではなく、ポイントを押さえれば防げることもありますので、注意点も参考にしてみてください。
ホワイトニングの直後は、正しい使用方法だとしても知覚過敏の症状が出ることがあります。
歯の状態によって個人差はありますが、もともと歯の一部が欠けていたり、歯の表層であるエナメル質が強い歯ブラシ圧や歯ぎしりによって薄くなっていたりする状態など、ダメージのある歯質の場合は知覚過敏が起こりやすいです。
知覚過敏の症状が出てしまった場合は、一時的にホワイトニングの回数や使用時間を減らすことで落ち着くケースがほとんどです。
毎日ホワイトニングを行っている場合は、1日置きや2日置きと間隔をあけたり、1回の使用時間を短くするなどで対応してみてください。
それでも症状が落ち着かない場合は、歯科医院を受診し歯科医師に相談してみましょう。
歯科医院には知覚過敏を抑えるための薬があるので、それを塗布することで経過をみるかという場合があります。
また、フッ素は知覚過敏に対して効果があると言われているので、自宅でもフッ素入りの歯磨剤やジェルなどを積極的に使用することをおすすめします。
ホワイトニング中に薬剤が歯肉まで浸透してしまうと、歯肉がピリピリと痛むことがあります。
その際に歯肉の一部が漂白成分の影響で白くなってしまうことがありますが、1~2日で元に戻ります。
ホワイトニング剤が歯肉まで浸透してしまう原因としては、ホワイトニングのトレーに入れる薬剤の量が多すぎることが挙げられます。
薬剤の量は大体1歯に対して米粒大が良いとされています。
薬液の入れたホワイトニングのトレーを口の中に装着すると、余分な薬液がはみ出してくることがありますので、その場合はティッシュで拭き取りましょう。
仮に症状が出てしまった場合でも、歯肉が弱くなるというわけではありません。
ただし白くしたいからといって、適量を守らないことは歯肉だけでなくもちろん歯に対しても影響が出てしまうことがありますので、使用する際には気をつけましょう。
矯正治療終了直後にホワイトニングを行うと歯並びが後戻りをしてしまうことがあるので注意が必要です。
矯正治療が終了した後は通常リテーナーと呼ばれる保定装置を使い、歯が後戻りしてしまうのを防ぎます。
特に矯正治療終了直後は顎の骨など歯の周りの組織が安定していないため、食事と歯磨き以外の時間は基本的にはリテーナーを使用することになります。
この期間中にホワイトニングを行ってしまうとその間はホワイトニング用のトレーを使用することになるので、2時間程度ですがリテーナーが使用できない時間帯が発生してしまうのです。
ホワイトニング用のトレーには歯並びを維持させるための力が無いため、リテーナーの代わりにはなりません。
矯正治療が終了して歯並びがきれいになると、歯自体も白くしたいという患者さんが多くいらっしゃいますが、矯正後は歯の周りの組織が安定するまでは最低でも半年はかかります。
せっかく長い時間をかけて治療した歯並びが後戻りしないためにも、ホワイトニングを始める時期は考慮したほうが良いでしょう。
ホワイトニングをしない方がいい人・できない人に関するよくある質問をまとめました。
ホワイトニングが適応の方で、歯科医師や歯科衛生士の指示のもと正しい使用方法で行えば歯が脆くなったり溶けたりすることは避けられます。
ただし、元々知覚過敏の症状が強い場合はさらにその症状が強くなることもありますので、ホワイトニング剤の使用は避けてください。
ホワイトニング剤に使用されている薬剤は厚生労働省によって認可されているものなので、歯に対して正しく使用すれば体に大きな影響はありません。
ただし、妊娠中や授乳中に使用した場合の胎児や幼児への影響の報告が現状では無いため、妊娠中や授乳中のホワイトニング剤の使用はしないでください。
ホワイトニングを放置しすぎると、歯や歯肉に影響が出てしまうことがあります。
ホワイトニングの1回の使用時間は約2時間です。
それ以上の時間使用してしまうと、知覚過敏の症状が強く出やすくなったり、薬剤が歯肉まで浸透しやすくなり歯肉の変色や疼痛が起こる可能性があります。必ず規定の使用時間を守りましょう。
ホワイトニングを受けるのは歯科医院の方がいいです。
歯科医院で取扱いのあるホワイトニング剤は厚生労働省で認可の受けているものです。インターネットで個人で購入出来るようなものは認可を受けていないものであり、使用していて何か予期せぬ症状が出てしまい歯科医院を受診したとしても、フォローを受けられない可能性もあります。
そのようなリスクを考えると歯科医院でカウンセリングを受けて購入するほうが安心でしょう。
ホワイトニングを始めるのが心配な方も、今回の記事から全ての人が歯が脆くなるわけではなく、ご自身がホワイトニングの適応かどうかを判断した上で使用方法を守れば、安心して使用することができるということが分かっていただけたのではないでしょうか。
実際にホワイトニングをして歯が白くなると、患者さんはとても満足して笑顔にも自信が持てる、とおっしゃる方が多いです。
ホワイトニングに興味があるけれど、自分の歯が適応するかどうか分からないという場合はまず歯科医院へ行ってカウンセリングを受けてみましょう。
歯科医師や歯科衛生士といった専門家が相談に乗ってくれるので、疑問点があれば気軽に質問してみてください。
午前診療時間:9:30〜13:00
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わかば歯科クリニック 理事長 板野 賢