悪い歯並び 叢生(そうせい)/乱ぐい歯について 原因と治療法

叢生(がちゃがちゃ歯、でこぼこ歯)は日本人に一番多い不正咬合です。
叢生は乱ぐい歯とも呼ばれます。がちゃがちゃの歯並びと杭(くい)が乱れて不規則に立っている様子が似ていることからこの名前がつきました。
叢生は先天的にあごが小さい子どもに発生しやすいほか、指しゃぶりなどのクセが原因でひきおこされることもあります。

叢生(そうせい)乱ぐい歯のイラスト

1.叢生(がちゃがちゃ歯)になる原因

叢生になる原因は大きく3つに分けられます。

①<先天的要因>

・生まれつきあごが小さく、生え変わりの際に歯(永久歯)が生えるスペースが足りなくなる
・生まれつきあごが小さく、遺伝的に歯が大きい

②<後天的要因>(生まれたあと、環境や成長によって変化する要因)

・乳歯から永久歯への生え変わりに問題がある

③<後天的要因>(生まれたあと、クセや習慣によって変化する要因)

・子どものときの指しゃぶりや舌で歯を押すクセが原因で叢生になる

①と②、③がミックスされ、叢生になるケースもあります。
先天的要因と後天的要因が重なると、叢生の症状は重くなりがちです。

1-1.叢生になる原因 その①「生まれつきあごが小さい、歯が大きい」

叢生は、

  • ・生まれつきあごが小さい
  • ・あごが小さく歯が大きい

このような子どもに起きやすいのが特徴です。
あごが小さくて永久歯が綺麗に並ぶスペースが十分に確保できない、歯が大きくてスペースが不足する、など、いずれのケースでも「歯が並ぶスペースが足りないこと」が原因で叢生が発生しやすくなります。

※乳歯の歯並びが綺麗なお子様は要注意!※

3歳~7歳ごろのお子様で乳歯がピシッと綺麗に並んでいる場合は要注意です。
乳歯は永久歯より小さいため、通常は多少のすき間がある方が望ましいです。しかし、乳歯の時点ですき間なく綺麗に歯が並んでいるケースでは永久歯に生え変わる時期にすべての歯が並ぶスペースが足りなくなり、叢生が発生しやすくなります。

1-2. 叢生になる原因 その②「乳歯から永久歯の生え変わりに問題が生じ、叢生になる」

乳歯から永久歯への生え変わりの時期(混合歯列期:6歳~12歳ごろ)に問題が生じ、叢生になることがあります。

乳歯から永久歯への生え変わりの際、乳歯が抜けたあとに永久歯がなかなか生えてこないと問題が起きやすいです。たとえば、乳歯が抜けた箇所に永久歯が生えてこない期間が長いと、すでに生えている永久歯(抜けた乳歯の隣の永久歯)が前側に倒れてくることがあります。倒れてきた永久歯が乳歯の抜けた箇所に重なってしまい、永久歯がまっすぐ生えてくるスペースが足りなくなってしまうのです。このようなケースでは歯が重なり合ったり、ねじれた状態で生えてきます。

1-3. 叢生になる原因 その③「子どものときのクセが原因で叢生になる」

子どものときに指しゃぶりや舌で歯を裏側から押すクセがあると、叢生を起こしやすいです。

幼少時の指しゃぶりや舌のクセは叢生だけではなく、出っ歯や受け口の原因にもなります。
指しゃぶりは上の前歯がひっぱられ、下の前歯が後ろに押されてしまいます。また、舌で歯を裏側から押したり、舌を上下の前歯のあいだにチロチロと出すクセも良くありません。
子どものときのの指しゃぶり、舌癖などの悪い癖は不正咬合をひきおこす大きな原因のひとつです。

2.叢生の治療法

叢生の治療法は主に4種類あります。
どの治療法も「歯と歯のすき間を作り、永久歯がしっかり並べるスペースを確保すること」がポイントになります。

  • ・床矯正(あごを左右に広げる矯正)=子ども(6歳~10歳頃まで)に適用
  • ・保隙装置の使用(永久歯のスペースの確保)=子ども(6歳~10歳頃まで)に適用
  • ・IPR(歯のやすりがけ)
  • ・歯列矯正(ワイヤー矯正、インプラント矯正、マウスピース型矯正(インビザライン))

このうち、床矯正と保隙装置は子どもにのみ効果が期待できる治療法となります。
IPRや歯列矯正は子ども、大人に関係なく適用可能です。

2-1.床矯正(しょうきょうせい)による叢生の治療

急速拡大装置を歯に装着し、あごを広げてスペースを確保する治療です。
装着期間は症状によって異なりますが、1~3か月かけてあごの骨を広げたあと、半年ほど幅を固定したまま装着を継続する治療を行います。

床矯正はあごの骨が閉じていない子どもに適用する治療であり、通常、中学生以降の患者さんには行いません。
床矯正は混合歯列期の6歳~10歳ごろまでに行う必要があります。
床矯正が適用できる年齢の目安は、永久歯である下あごの小犬歯(下の前から3番目の歯)が生えてこない時期までに行うのが理想です。

2-2.保隙装置(クラウンループ、小児義歯など)による叢生の治療

保隙装置(ほげきそうち)とは、歯が抜けた部分に永久歯がまっすぐ生えてくるためのスペースを確保する装置を指します。
歯にかぶせて使うクラウンループや子ども用の部分入れ歯である小児義歯などが代表的です。
叢生の症状が軽く、まだ永久歯が生えそろっていない場合には保隙装置のみで治療できるケースもあります。
重度の叢生の場合は保隙装置だけではなく、床矯正、歯列矯正を組み合わせて治療を進めて行きます。

2-3.IPRによる叢生の治療

IPRという器具を使い、歯の表層(エナメル質の一部)にやすりをかけ、すき間を作る治療法です。
治療では歯の健康に影響がでない範囲でエナメル質を削っていきます。
IPRを受けたことが原因で歯の寿命が短くなったり、虫歯になりやすくなる、ということはありません。

叢生の治療ではIPRだけを行うのではなく、歯列矯正と合わせてIPRを行う場合が多いです。なお、IPRは叢生治療において必ずしも行うものではありません。症状によってはIPRをせずに歯列矯正を開始する場合もあります。

2-4.歯列矯正(ワイヤー矯正、インプラント矯正、マウスピース型矯正(インビザライン))による叢生の治療

歯列矯正では、ワイヤー矯正のほか、アンカースクリューという装置をあごの骨に固定し歯を動かすインプラント矯正、インビザラインを使ったマウスピース型矯正などの治療法を適用します。

重度の叢生のケースでは左右の第一小臼歯(前から数えて4番目の歯)を抜いてスペースを確保してから矯正を開始することが多いです。
叢生の症状が比較的軽く、歯のがちゃがちゃ具合が小さい場合には非抜歯で治療できる場合もあります。

悪い歯並び 叢生(そうせい)/乱ぐい歯について 原因と治療法まとめ

叢生を直すには「子どものうちにあごを広げてスペースを確保すること」がポイントです。
成人後の叢生も治療によって改善を見込めますが、子どもと比べて大人の叢生は治療期間が長くなるほか、治療費用も高くなります。

当院での矯正歯科治療について詳しくはこちらもご覧ください。


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わかば歯科クリニック 理事長 板野 賢

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