歯医者に何度も通ってるけど治らないのはなぜ?

「虫歯治療のために何度も歯科医院に通い治療を続けているのに、一向に歯が治る気配がない」

このような経験をされている方が日本には少なくありません。
日本の歯科治療の現場においては、特に治療が長期化してしまうものの一つとして歯の根っこの部分を清掃して治療を行う「根管治療」があります。
根管治療は歯の中の神経にまでおよんでしまった虫歯を、根管と呼ばれる歯の根っこの神経が通う部分を清掃して綺麗にする治療ですが、根管内部の清掃は少しの細菌の取り残しでも虫歯や炎症が再発するため、細心の注意を払って治療を行う必要があります。
しかし、日本国内の歯科医院では根管治療時に細菌感染に対して十分な対策を行っていないことなどが原因で、根管の内部の神経の取り残しや感染症が起きてしまい、再治療を繰り返すこととなってしまったり、最終的には治療を断念して抜歯、といった事例が発生しているのです。
今回は、「歯医者に何度も通ってるけど治らないのはなぜ?」について詳しくご説明をさせていただきます。

歯が痛い女性の写真

■虫歯治療が長期化する理由

1-1.虫歯治療が長引いてしまう理由のほとんどは歯の根っこにある「根尖病巣」が原因です

虫歯は軽いものであれば痛みもなく、治療にかける時間も短くて済みます。
しかし、虫歯が歯の象牙質や神経部分である歯髄(しずい)と呼ばれる部分にまで達した場合には、歯の神経を抜く(ばつずい)という治療を行う必要があります。
神経を抜く治療を行った際には、ほとんどのケースでさらに歯の奥の深い部分である「根管」という場所を清掃して綺麗にする「根管治療(こんかんちりょう)」に移行することとなります。
歯の根っこにあたる根管が虫歯菌などの細菌におかされると歯の根の先の部分に袋状の「根尖病巣(こんせんびょうそう)」が形成されてしまい、常に強い痛みを歯に感じるようになるほか、病気が進むと膿が根の先の袋にたまって歯ぐきが腫れて痛むようになり、歯を支えているあごの骨が溶ける、などの症状も出てくるようになります。

1-2.根尖病巣を治す根管治療について

歯の根の先に袋状の空間を形成してその中に膿を出したり、あごの骨を溶かしてしまう根尖病巣は、歯の根っこを綺麗に掃除する「根管治療」によって治療を行い対処します。
根管治療では、リーマーやファイルといったらせん状の細いネジのような専用の器具を使い、歯の根っこの管である根管の中の神経をこそぎ切るようにして取り除いてゆきます。
根管治療は虫歯治療の中でも特に難しい治療の一つであり、その成功率は80%とされているため、すべての根管治療が成功するとは限らず、場合によっては何度も繰り返し根管治療を行う、または数か月、時には1年以上かけて根管治療を継続して行う、といったケースも珍しくありません。
この「長引く根管治療」が、「歯医者に何度も通っているけど治らない」というケースの大部分を占めています。

■根管治療が長引いてしまう原因とは

2-1.設備不足や歯科医師の技術の未熟さ

根管治療は成功率が80%と治療自体が複雑で難しいのが特徴ですが、根管内部の根尖病巣はCTレントゲンやマイクロスコープなどの機器を使わなければ確認することが出来ず、肉眼で根管内部の神経の取り忘れや細菌を確認することは不可能となります。
このため、根管治療の失敗の原因には上記に挙げた精密機器や設備が不足していることや、治療を行う歯科医師の技術が未熟だったり経験が浅いことによる治療の失敗などが代表的な原因の一つとして挙げられます。

2-2.ラバーダム(感染防止器具)を使わない

ラバーダムとは、ゴム状の薄いシートのような器具であり、治療中の根管内部に細菌が感染しないようにする目的で使用します。
根管治療時にはラバーダムを患者様のお口の上に覆うようにして装着し、治療を行う箇所のみ穴を開けて露出させ、根管治療を進めてゆきます。
ラバーダムは海外の先進国では使うことが当たり前となっている器具の一つですが、残念ながら現座の日本の歯科治療の現場においては、保険適用の歯科医院で行う根管治療時にラバーダムを使う歯科医院はほとんどないのが現状です。
このため、根管治療時に根管内部に細菌が侵入してしまい、結果、根管内部に侵入した細菌が炎症をひきおこしていつまでも歯が痛むようになり、何度も根管治療を繰り返さなければいけなくなる、といった事態が多発しているのです。

■根管治療は感染予防対策が重要

日本国内の保険適用で治療を行っている歯科医院においては、根管治療の「およそ半分」が再治療となっているいうデータもあり、いかに根管治療時にラバーダムを始めとする細菌感染防止器具を使っていないかが良く分かります。
根管治療が長引いてしまう理由のほとんどは、前述したようにラバーダムを装着しないことによる細菌感染が原因となっているため、根管治療の成功率を上げるためには、今後、世界の先進国と同じように日本の歯科医院でもラバーダムの使用を根管治療の際に義務付ける、といった姿勢が求められています。

【根管治療を受ける前にはその歯科医院がラバーダムを使っているかどうかを確かめるようにしましょう】

根管治療が長引いてしまう理由の多くが、ラバーダムを使わずに行う治療による細菌の感染が原因です。
現在、日本国内においては、自費診療で治療を行っている歯科医院ではラバーダムやマイクロスコープを使って根管治療を行うところが多いものの、保険適用の治療を行う歯科医院ではまだまだラバーダムを使用して根管治療を行うところは少ないのが現状です。
しかし、中には保険適用でもラバーダムを使って根管治療を行う良心的な歯科医院も少ないながら存在していますので、根管治療を受ける際には、前もって歯科医院のHPや電話番号を調べておき、治療前にメールや電話で直接、「根管治療時にラバーダムを使いますか?」という質問をされてみることをおすすめします。

当院での歯の根の治療(根管治療)についてはこちらもご覧ください。


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わかば歯科クリニック 理事長 板野 賢

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