ガムと脳トレ

「ああ疲れた・・・もう働きたくない」

「あっ!またミスしちゃった・・・」

「あれ?さっき上司から言われたこと、もう忘れちゃった・・・」

このような「仕事中の倦怠感」や「うっかり忘れ」、ありませんでしょうか?
仕事は長い時間続けているとだんだん集中力が途切れがちになり、作業の効率もじょじょに落ちてきます。
その原因とされているのが、目的を持って作業を行う際に脳の中の記憶を切り替える役目を果たしている「ワーキングメモリ」の低下です。
ワーキングメモリは作業時間が経過するとともに疲労が蓄積するため、ときどきメモリを回復させてあげる必要があります。
では、脳内のワーキングメモリを回復させるにはどのような方法が適しているのでしょうか?
そのひとつに「ガムをかむ」という行動があります。
ガムをかむ行為は脳内の血流を良くするとともにワーキングメモリの回復にも役立つ、という研究結果も報告されており、近年では仕事中や休憩時間にかむガムの効果に注目が集まっています。
今回は「脳を活性化!ガムで脳トレ」についてお話をさせていただきます。

粒ガムの写真

■「ワーキングメモリ」の回復とは?

ガムをかむことがワーキングメモリの回復につながる、という事実は、海外の研究機関が行った研究結果から明らかになっています。
その調査では、大学の職員129人を対象に作業中にガムをかむグループとかまないグループに分けて実験を行ったところ、「仕事中に感じるストレス」の項目ではガムをかまないグループがほとんどストレスを解消できなかったのに対し、ガムをかんだグループではかまないグループよりもおよそ3倍もストレスが軽減された、という結果になりました。
さらに、「仕事中の疲労度やミス」の項目ではガムをかまないグループに疲れや不注意が発生しやすくなるのに対し、ガムをかんだグループでは仕事中の疲れやミスが減少した、という結果がでたことから、ワーキングメモリを回復させるためにはガムをかむ行為が非常に有用である、としてガムの効果に注目が集まっています。

出典:バイオメッド・リサーチ・インターナショナル 2015年号
http://dx.doi.org/10.1155/2015/654806

■認知症とガムの関係

ガムをかむ行為はワーキングメモリを回復させるだけではなく、脳の活性化にも関係があることが判明しています。

◎記憶と脳のメカニズム

人間の脳に新たに入ってきた情報は海馬(かいば)という器官に送られ、一時的に保存されます。
そのとき、悲しみや喜び、ストレスなどの刺激をともなうとその情報は長く記憶に刻まれます。
つまり、記憶の中でも特に何度も何度もくりかえし使われる情報は大脳皮質に送られ、長期的に保存されるのです。
そして、認知症の人は海馬の神経細胞が広い範囲にわたり死滅しており、記憶と脳のメカニズムがうまく機能していないことが多いことが明らかになっています。

[1]脳の機能はかまないと衰える

歯を削りわざとかみにくい状態にしたマウスと、正常な状態のマウスを使い実験を行った結果、1週間が経った時点で歯を削ったマウスの方が正常なマウスよりも「およそ30%」も多く海馬の細胞が死滅していたことが分かりました。
これにより、海馬の働きはかまなければ衰えていく、ということが判明しました。

[2]高齢の人ほど脳が活性化しやすい

研究では、20代の人と60代、70代の人それぞれにガムをかんでもらったところ、思考や感情をつかさどっている脳の連合野が活性化することが判明したほか、60代、70代と高齢になるほど20代よりも脳が活性化した割合が高いことが明らかになりました。

[3]ガムをかむことで海馬が活性化

65歳から76歳の高齢の男女36人にガムをかんでもらったところ、2分間ガムをかみつづけることで脳の連合野だけではなく海馬も活性化することが分かりました。
この研究ではガムをかむ前と比べて海馬の活動量が1.4倍から3倍に変化し、ガムをかむことで海馬が活性化することが判明しています。

■ガムをかむことはほかにもさまざまな効果が

○ガムでストレスが軽減

20代から60代までの男女23人に大きな音で非常ベルを聞かせながらガムをかんでもらったところ、23人中18人が「ガムをかんでいたときの方がストレスを感じなかった」「ガムをかんでいるときはかんでいないときと比べて大きな音を不快に感じなかった」と回答しており、実際に脳内の前頭前野や扁桃体の活動が抑えられ血中に含まれるアドレナリンなどのストレス性物質が減少していたことが明らかになりました。
この実験から、ガムをかむことがストレスの軽減につながる、とする研究報告がだされています。

○糖尿病や脳梗塞を予防

平均年齢が53.8歳の男女51人を対象に食事をする直前にガムを10分間かんでもらう実験を9週間続けたところ、血管の老化し硬くなるのを防ぐホルモンのアディポネクチンの増加が参加者全員に認められたほか、脳梗塞をひきおこす悪玉物質のPAI-1や血液の中に含まれる糖分ヘモグロビンのA1cの減少が確認されており、ガムをかむことが糖尿病や脳梗塞の予防に効果的である、とする研究結果が報告されています。

【ガムをかんで脳を活性化】

今回ご紹介したようにガムをかむことは海馬の働きを良くするなど、さまざまな効果を期待できます。
ふだん仕事で疲れやすい方や記憶力が落ちてきたと感じている方は、ぜひガムをかんで脳を活性化してみてはいかがでしょうか。

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わかば歯科クリニック 理事長 板野 賢

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