あいうべ体操

現在、口だけで呼吸をする口呼吸が健康上の問題をひきおこす、として話題になっています。
本来、人の呼吸は鼻で行う鼻呼吸が正しいのですが、口だけを使って息をする口呼吸を行う人が増えており、歯周病や虫歯の悪化、口を開けっ放しにすることでひきおこされる「アデノイド顔貌」など、口呼吸はさまざまな悪影響を身体全体におよぼすことが明らかになっています。
そこで今回は、口呼吸を改善するためにおススメの「あいうべ体操」を始めとする口呼吸の改善方法をご紹介します。
お子さまやご自身が口呼吸をするクセがある方は、ぜひ、記事の内容をご参考になさってみてくださいね。

口を開けている女性の写真

■あいうべ体操とは

「あいうべ体操」とは、口を大きく「あ」「い」「う」「べ」の形に動かすことによって口の周りにある口輪筋(こうりんきん)という筋肉を鍛える体操です。
口輪筋を鍛えることで口呼吸によって筋肉がゆるみ気道側に落ち込んでしまった舌を正常な位置に戻すことができ、口呼吸の改善に役立ちます。
また、唾液を分泌する唾液腺を刺激するため、口内環境を改善する効果も期待できます。

▲1-1.あいうべ体操のやり方

①リラックスした状態で口を大きく開け、「あ~」「い~」「う~」「べ~」と動かします。
このとき、声はださなくてもOKですが、なるべく大きなアクション(おおげさに)で口を動かすようにしましょう。

②①の「あいうべ」を1セットとして、1日あたり30セット行います。
アゴに痛みを感じる場合は「い」「う」を繰り返すだけでも大丈夫です。

以上があいうべ体操の手順となります。
手順どおりにしっかり1日30セット行っていれば、早い方では3週間、平均的な方でもおよそ3か月程度で舌の位置が改善され、自然と口呼吸から鼻呼吸になるケースが多いです。
1日あたり30セットを行うのが基本ですが、必ずしも1度に30セット行う必要はありません。
ご自分のやりやすいペースであればセット数を分割してもかまいませんので、空き時間などにぜひ行ってみてください。

■口呼吸の改善方法

口呼吸は上記の「あいうべ体操」のようなトレーニング法のほかにも、ふだんの生活でできる改善方法がいくつかあります。

▲2-1.口輪筋の筋力を改善する方法 その1

・食事は背筋を伸ばして正しい姿勢で取り、左右両方の歯を均等に使って1口につき30回以上かんで食べる。

▲2-2.口輪筋の筋力を改善する方法 その2

・上下の唇全体を使って割りばしを強くはさみ、はさんだ状態を2分間保持する。

▲2-3.口輪筋の筋力を改善する方法 その3

・「パタカラ」と呼ばれる器具を使い、口輪筋を鍛えるトレーニングを行う。

▲2-4.口輪筋の筋力を改善する方法 その4

・お面のひょっとこ(もしくはタコ)のように唇をとがらせる。
・口の両端に指をかけ、外側へひっぱる

上の動作を20回程度繰り返して行う。

▲2-5.口輪筋の筋力を改善する方法 その5

・砂糖不使用のガムやキシリトールガムを1日に2回、1回につき15分以上かけてかむ。

■もしかしたらあなたも?口呼吸チェック表

□ふだんから口をポカンと開けている
□起きたときに口の中が乾いている
□起きたときに口の中がネバネバしている
□起きたときに唇が乾燥している、唇が裂けている
□起きたときに口の中がヒリヒリする
□起きたときに口臭がする
□歯を毎日磨いているのに歯ぐきから血がでる
□歯を毎日磨いているのに歯の表面に歯石がついている
□歯を毎日磨いているのに虫歯になりやすい
□かみ合わせや歯並びが乱れている
□口内炎がしょっちゅう口の中にできる
□風邪をひきやすい
□鼻がいつもつまっている
□アレルギーの症状がある
□うつぶせや横向きになって眠るクセがある
□肌が荒れている

上のチェック表のうち、3項目以上チェックがついた方は無意識に口呼吸になっている可能性があります。

■口呼吸は口輪筋トレーニングでは直せないこともあります

口呼吸はあいうべ体操やそのほかの口輪筋のトレーニングで改善できることもありますが、原因によっては改善が困難な症例も存在しています。
たとえば、原因がのどの奥にあるアデノイド(咽頭扁桃:リンパ組織の一種。ウイルスや細菌の体内への侵入を防ぐなど、身体の免疫機能に関係しています)の場合、口輪筋トレーニングでは口呼吸を直すことができないため、アデノイドを切除する手術を耳鼻咽喉科で受ける必要があります。
また、歯のかみ合わせの乱れによって口呼吸が発生しているケースでは歯科医院で歯並びを直す矯正治療を受けなくてはなりません。
このように、口呼吸の改善は単に「鼻で呼吸すれば良い」という簡単なものではなく、患者さんそれぞれの症状によって対処法が異なります。

【口呼吸でお悩みの方はまず最初に歯科医院で診察を受けましょう】

口呼吸は幼少期からのクセや歯並びの乱れ、またはのどの奥にあるアデノイドなど、原因がさまざまにある症状のひとつです。
このため、もし、口呼吸でお悩みの方はまず最初に歯科医院で歯並びをチェックしてもらうことをおすすめします。
歯科医院では、口呼吸が歯並びの乱れが原因なのかどうかを判別することができ、歯並びが原因ではないと診断された場合には耳鼻咽喉科を訪れてみる、といった順番で診察を受けることも可能です。
意識してもどうしても口呼吸が直らないときにはとりあえず歯科医院で診察を受け、歯科医師の判断を仰ぐようにしてください。

当院での診療について詳しくはこちらもご覧ください。


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わかば歯科クリニック 理事長 板野 賢

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