「甘いものが食べたいけど、虫歯が心配」という方も多いのではないでしょうか。
そんなときにおすすめなのが代用甘味料です。
代用甘味料は砂糖（スクロース）の替わりに使用する甘味物質であり、上手に摂取することで虫歯になるリスクを抑えることができます。
ただし、代用甘味料には糖質甘味料と糖質以外の物質から作られた非糖質甘味料の2種類が存在しており、糖質甘味料の中には虫歯の原因となるものが多いので注意が必要です。
甘いものを摂取しながら虫歯を予防するには、キシリトールやパラチノースなど、虫歯の原因となる酸を作り出さない代用甘味料を選ぶことが重要です。
今回は「虫歯にならない甘味料？代用甘味料とは」について詳しくお話をさせていただきます。

■虫歯予防に代用甘味料が効果的？

◎虫歯菌は糖質をえさにして活動する

代用甘味料についてご説明をする前に、虫歯のメカニズムについて少しおさらいしてみましょう。
虫歯はお口の中にひそんでいるミュータンス菌によって発生する病気です。
ミュータンス菌は食品や飲料の中に含まれる糖分をえさにして活動するため、砂糖やご飯、パン、麺類など、糖質（炭水化物）を含む飲食物を摂取すると虫歯を発症するリスクが上昇します。
ご飯やパンなどは私たち人間の主食であり欠かすことができない三大栄養素のひとつですから食べない訳にはいきません。
しかし、砂糖はショ糖を主成分とする物質でいわば糖質のかたまりのため、非常に虫歯になりやすい食品でもあります。
砂糖をたっぷり含んだお菓子やジュース、炭酸飲料などの飲食物が歯に悪いとされているのはこのためです。

◎じゃあ、代用甘味料なら虫歯にならないの？

では、砂糖の替わりに用いられる代用甘味料であれば虫歯にならないのでしょうか？
答えは「NO」です。
代用甘味料には糖質から作られる糖質甘味料と原料を糖質としない非糖質甘味料の2種類があり、このうち、糖質からできている糖質甘味料の中には砂糖のほかにブドウ糖や果糖など、虫歯の原因になるものも多いです。
それに対して原料が糖質由来ではない非糖質甘味料は虫歯菌であるミュータンス菌のえさになる糖質を含んでいないため、「虫歯になりにくい甘味料」としてさまざまな食品や飲料に使用されています。

こう聞くと「じゃあ、糖質甘味料はNG？」と感じる方もいらっしゃるかと思いますが、糖質甘味料の中にはキシリトールやステビアなど、虫歯の原因になる酸を作り出さない糖アルコールに分類される甘味料が存在しているため、糖質甘味料でも糖アルコールを含む飲食物であれば虫歯になるリスクは低くなります。
また、糖質甘味料の中でも糖アルコールには分類されないものの、パラチノースやスクラロース、アスパルテーム、アセスルファムなどの甘味料は虫歯になりにくい特性があり、多くの飲食物に使用されています。

［糖質甘味料］

●虫歯になりやすい

単糖類・・・ぶとう糖、果糖、ぶどう糖果糖液糖など

二糖類・・・砂糖、乳糖、麦芽糖など

○虫歯になりにくい

糖アルコール・・・キシリトール**、ソルビトール**、エリスリトール**、パラチニット**、マルチトール**、マンニトール**など

オリゴ糖・・・パラチノース**

合成品・・・アセスルファム**

その他・・・アスパルテーム**、スクラロース**

［非糖質甘味料］

○虫歯になりにくい

ステビア**、アスパルテーム**

（**＝特定保健用食品に使われている甘味料）

上記のうち、「**」がついているものは国が定める特定保健用食品に使用されており、虫歯にかかるリスクが低い甘味料に分類されます。

■代用甘味料を上手に活用する方法

◎「特定保健用食品」と「歯に信頼マーク」があるかどうかをチェック

特定保健用食品は消費者庁が安全性と有効性について科学的根拠を基に審査を行い、許可された食品を指します。
また、歯に信頼マークのある食品は日本トゥースフレンドリー協会によって「虫歯の心配がない食品」として評価基準に適合しています。
これらの食品の甘味料には前項でお伝えしたキシリトールやアスパルテーム、パラチノースなど虫歯になるリスクが少ないものが多いため、甘いものを食べたいときには特定保健用食品もしくは歯に信頼マークがあるかどうかをチェックしてから購入することをおすすめします。

【リスクが低くても食べ過ぎはNG】

虫歯になるリスクが低い代用甘味料にはガムの甘味料として使用されるキシリトールやお菓子の中に含まれるパラチノースなど、さまざまな種類があります。
しかし、これらの甘味料はまだ性質がよく分かっていないものも多いため、摂り過ぎには注意が必要です。
事実、キシリトールやアスパルテームは食べ過ぎると下痢をひきおこすことが明らかになっており、体調不良の原因となる甘味料も存在しています。
「虫歯にならないから」と言って人工甘味料を含むお菓子やジュースを安易に摂取するのはひかえ、本当に甘いものが欲しいときに少量だけ食べるなど、代用甘味料を上手に活用して日々の食生活にアクセントをつけるように工夫してみましょう。

当院での虫歯治療について詳しくはこちらもご覧ください。

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わかば歯科クリニック　理事長　板野　賢