歯石の種類

「歯石を放置すると歯周病や虫歯が悪化する」ということは多くの方がご存知かと思います。
ご自身の歯を舌でさわってみてザラザラとした感触があったり、鏡に映った歯の表面に黄色っぽいかたまりが付着しているものがあれば、それが歯石です。
しかし、実は歯石にはもうひとつ「黒い歯石」が存在しています。
黒い歯石は外から見えない歯石であり除去がむずかしく、白い歯石とは異なる性質を持っています。
また、黒い歯石は歯周病やインプラント治療を行う際には特に注意が必要となります。
今回は、「黒い歯石って何?歯石の種類とは」についてお話をさせていただきます。

歯石の付いた歯の写真

■歯石は2種類ある

歯石には、みなさんが良く知っている白い歯石と外側からは見えない黒い歯石の2種類の歯石があります。
白い歯石と黒い歯石の違いは以下のとおりです。

[白い歯石]

白い歯石は「歯肉縁上歯石(しにくえんじょうしせき)」と言い、外側から見える歯の部分、歯冠(しかん)と呼ばれる歯と歯ぐきの境目よりも上の部分に付着します。
この白い歯石は細菌のかたまりである歯垢(プラーク)が唾液に含まれるミネラル成分によって固まってできたものであり、一度歯石が作られると歯ブラシで落とすことはむずかしくなります。
白い歯石はプラークが付着している場所であればどの部分にも形成されますが、特に唾液腺の開口部がある上の奥歯のほっぺた側や下の前歯の裏側にできやすいという特徴があります。
白い歯石は除去せずに放置していると歯石と歯のあいだに歯周病菌や虫歯菌などの細菌がひそみやすくなるため、定期的に歯科医院でスケーリングを受けて取り除く必要があります。

[黒い歯石]

黒い歯石は「歯肉縁下歯石(しにくえんかしせき)」と言い、歯と歯ぐきの境目にある歯周ポケットという溝の中にできる歯石を指します。
黒い歯石ができるきっかけは歯と歯ぐきの境目、歯根の表面に付着したプラークが白い歯石になって歯周ポケット内に溜まり、白い歯石がじょじょに黒い歯石に変わっていきます。
歯周ポケットの内部は酸素が少ない状態のため、歯周病の原因菌の1つで酸素を嫌うP.g菌という種類の細菌が増えやすくなります。
そして、P.g菌には黒い色素を産み出す性質があり、歯周ポケット内に付着した白い歯石はP.g菌によって黒く変色していきます。
また、黒い歯石は歯ぐきから歯周ポケット内部にしみだす浸出液や血液中のヘモグロビンなどの成分を含んでおり、黒褐色でとても硬いのが特徴です。
非常に硬くなおかつ歯と歯ぐきの境目に付着する性質を持つ黒い歯石は通常のスケーリングでは取り除くことができないため、清掃時には特殊な器具を用いて歯周ポケット内部の歯石を除去するルートプレーニング(SRP)という歯周治療が必要となります。

●黒い歯石は要注意

黒い歯石である歯肉縁下歯石の中にはたくさんの細菌がひそんでおり、歯周ポケット内の歯根表面に黒い歯石が付着すると歯ぐきの炎症が発生します。
この歯ぐきの炎症が初期の歯周病である歯肉炎です。
そして、黒い歯石によって歯ぐきに炎症がおき歯周病を発症すると、通常は歯と密着している歯ぐきが歯根からはがれてしまうほか、さらに歯肉縁下歯石が付着しやすい状態となり、歯周ポケットの溝も深く大きく広がっていきます。
深くなってしまった歯周ポケットの中にひそむ黒い歯石は歯ぐきに炎症をおこすだけにとどまらず、やがては歯を支えているあごの骨の歯槽骨まで溶かしてしまいます。
歯槽骨が溶けると歯を支えることができなくなり土台がもろくなった歯はグラグラと不安定になるほか、症状の悪化によって歯が自然に抜け落ちてしまうこともあります。

■まずは白い歯石を取り除くことが大切

歯冠部分に付着する白い歯石、そして歯周ポケット内部に溜まる黒い歯石のどちらも歯周病を悪化させる、という特徴を持っています。
特に黒い歯石は上の項でご説明したとおり、歯周病を急激に悪化させるため、注意が必要です。
では、白い歯石は黒い歯石と比べて被害が少ないから放置しても大丈夫かと言えば、けっしてそうではありません。
白い歯石も黒い歯石と同様、歯周病を悪化させるほか、歯の表面と歯石のあいだに虫歯菌などの細菌がひそみやすくなり虫歯を悪化させる性質があるため、白い歯石が付着した場合にはこまめに歯科医院でスケーリングを受けて歯石を取り除いておくことが大切です。

【セルフケア+プロケアで歯周病予防】

今回は歯石の種類についてご説明をさせていただきました。
白い歯石はご存知でも、黒い歯石の存在については「初めて知った」という方も多かったのではないでしょうか。

歯石はもともと、歯についているプラークが固まってできたものです。
このため、普段からしっかり歯磨きを行いプラークを落としておくことで歯に付着する歯石の量を減らすことができます。
歯の健康を保つためにも毎日のブラッシングは欠かさずにしっかり行うことを心がけ、合わせて歯科医院での定期検診とスケーリングを上手に活用し、歯周病や虫歯を未然に防ぐようにしましょう。

当院での歯周病治療について詳しくはこちらもご覧ください。


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わかば歯科クリニック 理事長 板野 賢

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